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クールトーク。第12弾 Nulbarich の音楽が生まれるまで



存在感を増すNulbarich JQに聞く、音楽制作の裏側

インスピレーションをもらえたり、こだわりを感じられたり、何かを始めるきっかけになったり。そんなトークを軸に、クールなモノやコトをみんなで楽しむ場「クールトーク。」第12弾では、2016年のデビュー以来、快進撃を続けるNulbarichのJQさんが登場。結成当初、メンバーの素顔を出さずに通称“ナルバリくん”と呼ばれるバンドロゴのみ公表していたことで、「覆面バンド」として捉えられていたNulbarich。そのロゴに隠された謎とこだわり、また11月6日に発売された新作ミニ・アルバム『2ND GALAXY』について伺った。


―Nulbarichの結成の経緯を教えてください。

趣味で友達とコラボするような感覚で始まりました。僕がプロデューサーや作曲家として仕事を始めたのは10年以上前のこと。長く裏方をしながら繋がったミュージシャンの友人たちと「楽しくバンドでもやろうぜ」と話していたら、それが現実になりましたね。そんな始まり方だったので、同じ楽器が二人いたり楽曲によって適宜メンバーが変わったりとルールにも囚われない方がいいかなと思って…。なので、バンドというよりプロジェクトないしはクルーのような感じかな。


―初期は、素顔を出していなかったことで「覆面バンド」という認識が広がっていました。リスナーに公表されていたのは楽曲とバンドロゴの通称「ナルバリくん」のみ。このロゴはどのような意図でデザインされましたか?

意図なんて大それたものではなく成り行きかな(笑)。ラジオで楽曲を流していただいて有難いことに反響が大きかったものの、他バンドとの契約上、名前を公表できないメンバーもいて…。何も準備しないうちに楽曲が先に走ってしまったので、ひとまず出来ることとしてロゴを作ったわけです。僕の写真のシルエットをトレースしていただいてイラストにしたら…相当、猫背ですよね(笑)。特徴的ですし、まぁ、これも良しかな…と。

―初期、覆面バンドと称されたのはマーケティングではなかったんですね。

全くないですね。メンバーを公表していませんが、隠そうともしていませんから。どんなに隠そうとしてもこのご時世、調べられたらわかってしまうものです。ただ、純粋に音楽だけを評価していただきたかったのは確か。アーティストの見た目なんて余計な情報は削ぎ落として、聴覚情報だけのラジオで最初に届けられたのは良かったですね。


―リスナーの方に先入観なく音楽を届けたいという思いを感じられます。

僕は目立ちたい欲求があまりなくて楽曲の生産者としてのマインドの方が強いと思っていて。なので、曲が世に広まる前に「こういう人たちがやっている音楽」という先入観を与えたくなかった。見た目やファッションによって楽曲に違和感を持つ人がいるかもしれないし、良くも悪くもジャッジされてしまいがちな気もしていて…。聴く前に情報がある必要はなく、ただ音楽から僕らを知ってほしかった。例えば、美術館などで展示されている作品のタイトルを、できれば見ずにみたい。「こういうものですよ」と提示されてしまうと、自然と感じられるはずの本質が見えにくくなったり見逃してしまうんじゃないかな。

―ライブではお客様に驚かれることもあるのではないでしょうか。

良い音源をつくることとパフォーマンスアートであるライブは全くの別軸です。それぞれ、純粋に自分が楽しめて100%の力を発揮することが大切。ですからライブでは下手に顔を隠したりせずに最もいい状態で演奏する方が自然ですよね。デビュー当初は、ノリのいいお客さまから「もっとシュッとしてると思ってた!」なんて突っ込みが飛んできたりして、メンバーが「そのうちシュッとして帰ってきます」と返したりしていたのが懐かしい。


―「Nulbarich」は、「null but rich」を元にした造語だそうですね。

もともと「物がなくても心は豊かになれる」と感じていました。例えばプレゼントをいただく嬉しさは、物そのものではなく相手の気持ちによるもの。やはり人を満たしてくれるのは心なんですよね。また、「null」と「rich」は共存しているという視点もありますね。楽曲制作ならば一度、頭を空っぽにすることで想像力が豊かになったり、創ることを渇望したりする。「null」だからこそ「rich」を見出せる。と、そんなヒップホップらしいパンチラインが面白くもあって気に入りました。

―システマチックな印象があるNulbarichですが、楽曲制作の原動力を教えてください。

システマチックと捉えられるのが予想外(笑)。言語化して狙った曲をつくるというより、今欲しい音に対しての感覚的な追求がモチベーションです。というのも、僕にとって楽曲制作は植物みたいに有機的なもの。いろいろな栄養を蓄えて花を咲かせるまではごく自然な流れがありますよね。曲作りも同じように、自然なインプットがありアウトプットが生まれる。その過程で意図的に何かを狙って手を加えるのは、化学調味料みたいに不自然なものなんですよね。


―では、JQさんにとってのインプットとはなんでしょう。


例えば、僕自身が開放された状態になるライブはとても良質なインプット。また、日本のポップス由来の耳馴染みのいいサウンドや掘ってきた音楽…と、生きていく中で自然に摂取してきた音楽ですね。

―楽曲制作は、自然なアウトプットなんですね。

その通り感覚的なもの。僕は設計図どおりに物事を運ぶのがそう好きではないし、さらに言えば説明書なんか苦手。何かを創作するときに説明書を見ると、もはや自分が作っているのか作らされているのかわからないから。別のインスピレーションが湧いてきたら、時々に変わっていくのもいいじゃないですか。


―11月にリリースされた最新作はどんな仕上がりになりましたか。

強いて言うなら、さいたまスーパーアリーナで鳴らすためのアルバムです。実は毎回、制作前にコンセプトを据えないのですが、12月1日にライブがあるという想定はどうしても頭にある。それを取っ払っては作れませんから、曲のスケール感は自然とライブのスケールに比例してくるかもしれません。

―収録されている「Look Up」はゴスペル調でもあり、新鮮な印象です。

アメリカで制作したので、向こうで聴いていた音楽やミュージシャンたちとセッションをしたときの感覚が自然と反映された楽曲です。ミニアルバムの中でも新たな自分たちを提示できたキーになる一曲かな。

―「Lost Game」はアニメ「HELLO WORLD」の主題歌ですね。

アニメに当て書きした曲ですが、制作時点ではまだ絵コンテのままで映像化されていない箇所もありました。だからこそ想像の余地にうまく入り込んで制作することができた。主人公に感情移入することで自分の知らなかった絶望を感じたりもして…楽曲制作を通して初めての感情やスケール感に出会うという、逆説的な体験をしましたね。


―ますます人気は高まり続けていますがキャッチーであることを意識していますか。

キャッチーというべきか…フッキーなことは大切。耳に残るフックはいい音楽にはつきものですから。それさえ存在すればサビはなくていいと思っているくらい。ただ、だからと言ってイージーなものを良しとはしていない。スキャットマンの例があるように、音楽やアートはわかりづらいからこそ想像するのであって、それが醍醐味じゃないですか。


―ごく自然体で、音楽に向き合われているんですね。

曲をつくるまでが僕たちの100%の魂です。何かに中指を立てるわけでもなければ、誰かに刺しにいくわけでもない。ただ一曲ずつにアイデンティティを死ぬほど詰める。僕たちは全ての曲を全力でつくりますから、どの曲をプッシュするも、いかに売るも広げるも、あとはその道のプロフェッショナルにお任せすることかな。音楽に最低限のルールはあるけれど、それ以外、何にも縛られる必要はないですよね。


Nulbarich
JQ
シンガーソングライターJQがトータルプロデュースするバンド「Nulbarich」。2016年10月に1stアルバム『Guess Who?』をリリース。その2年後に行われた武道館のライブのチケットは即ソールドアウト。中国、韓国、台湾などの国内外のフェスでは既に50ステージを超える。生演奏、またそれらをサンプリングし組み上げるという、ビートメーカー出身のJQらしいスタイルから生まれるグルーヴィーな音は、バイリンガルなボーカルと溶け合い、エモーショナルでポップなオリジナルサウンドへと昇華する。

http://nulbarich.com


『2ND GALAXY』
11月6日(水)リリースのNulbarichの最新ミニアルバムは、Apple MusicやSpotifyにて配信中。

アルバム情報
http://nulbarich.com/discography/detail/21//
配信情報
https://jvcmusic.lnk.to/2NDGALAXY


Interview & Text: Takako Nagai [CATALDESIGN]
Photo: Junko Yoda [Jp Co.,Ltd.]

バンドロゴに隠された思いが垣間見えたNulbarich。
JQさんの自然体であるからこそ生まれる楽曲に、今後も注目したい。
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さぁ、チェックしよう!


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