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「クールトーク。共同開発」インスピレーター山木悠の溢れる創意と好奇心



共同開発プロジェクトの中心人物、単独インタビュー

インスピレーションをもらえたり、こだわりを感じられたり、何かを始めるきっかけになったり。そんなトークを軸に、クールなモノやコトをみんなで楽しむ場「クールトーク。」今回から始動する共同開発プロジェクトでは、インスピレーターの山木悠さんを中心にさまざまなジャンルでクリエイティブな活動しているメンバーが集まり、KODEでしか手に入らないクールなアイテムを生み出していく。

第1回の今回は、インスピレーターを務めていただく山木悠さんにスポットを当てる。自身で米国やヨーロッパを旅しながら行なった錚々たるクリエイター陣との対話をまとめた雑誌『CURIOSITY』(2014年)で注目を集めた。2017年には『CURIOSITY 2』を刊行。『3』も現在制作中という山木悠さんに、改めて雑誌制作の経緯、自身の人生、そして今回の共同制作のヴィジョンを語ってもらった。



—そもそも『CURIOSITY』という名前をどうやってつけて、なぜ作ろうと思ったの?
 
『CURIOSITY』という名前は、NASAの火星探査車から着想を受けました。探査車の名前はアメリカで公募されたのですが、2004年に「スピリット」と「オポチュニティ」というのがあって、2012年に火星に行ったのが「キュリオシティ(=好奇心)」という名前だった。自分が人間型の探査機になって、いろいろな人たちに人生のことを聞きに行こう、みたいなのがひとつのテーマになっていたのでそれをとって『CURIOSITY』という名前をつけました。
 
—雑誌は元々好きだった?
 
近所に住んでいた友達のお兄ちゃんがカルチャー好きな人で、その影響で小中学校くらいからいろいろな雑誌を借りて読んでいたんです。国内外、ジャンル問わずありとあらゆるものを読んでいました。日本の雑誌の中では、特に好きだったのが『HUgE』で。そこに載っている写真集や映画を片っ端から調べて潰していったり、カルチャーやファッションというものに対しての意味合いとかを素人ながらに読み取ったり。写真家、スタイリスト、編集、ライターは誰なのかとクレジットをチェックしたりしながら読むことに熱中したのが高校生の頃でした。そういうことがインプットとしてあったほうがいいなと漠然と思っていたんです。洋服ならどんな人が作っているのか、映画なら使われている音楽や監督が何に影響を受けているのか、小説なら原作と翻訳の違いを読み比べてみたり。そういう情報の大事さを意識しはじめたのが15歳くらいのときで、そのためのインプットの道具、入り口として雑誌は使っていました。カルチャーの情報源としての雑誌というあり方が好きで、それこそ自分の好奇心のために読んでいました。勉強みたいなものでしたね、僕的には。
 
—それで雑誌を作りたいと漠然と思ったりはしていた?
 
全然思っていなかったです。何がやりたいかがわからなかったので自分で作ったんです。何をやっていいかがわからなかったからこそ、何かをやっている人に話を聞こうと思って。明確にやりたいことがなかったんです。本当に21歳くらいまで。でも震災があって、人の一生を考えたときに自分のやりたいことがなんとなくでもあるのであれば、そこに向かって一回アクセルを踏んでみてやってみたほうがすっきりするなと強く思ったんです。
 
—震災の時はどういうことをしてた?
 
就活していました。安定した仕事で収入を得て、カルチャーがわかってファッションにちゃんと敏感であれば、普通にいい人生だなと思っていて。でも、結局それって、自分のやりたいことや発信することに対する逃げとは言わないまでも、ちょっとそれを言い訳にしていたんです。本当のところはどうかということを実体験として、自分ごととして語れないようじゃ、座学で終わってしまうなと。実体験に勝るものはないですからね。それがどうしても耐えられなかったというか。それからはずっとプーというか海外を放浪して、勝手に『CURIOSITY』を出して今に至ります。結局どこにも雇われることなくずるずるときてしまいましたね(笑)。



—それで作った1冊目がこっちだよね。形といい、真っ白に「CURIOSITY」という単語一つだけとか、デザインがすごく断定的というか。
 
本当にセルフで作って、1から10まで、いや0から100までですね。印刷会社と話し合ったりとか卸しの営業とか何から何までやっていました。デザインを考えたり、テープ起こしや翻訳は僕もやりましたけど、友達に手伝ってもらって。この白い表紙はめちゃくちゃ汚れやすくて(普通はしない)、汚れたら返品があるじゃないですか。それでもなぜ白にしたかというと、ずぶのド素人が1冊の本を作りましたということで、「素人」と「白」をかけているだけなんです。で、次を黒にしたのは、1冊本を完成させることができた「玄人」の「黒」ということです。白から黒になりたいんですよということを、暗にメッセージとしてデザインに入れているということ。他にもいろいろギミックや小ネタが入っているのですが、内容がちょっとシリアスになっても作っている本人はふざけているやつという、そのファニー感を出したいなと思っていたんです。次はグレーにする予定です(笑)。
 
—インタビュー相手はどうやって決めていったの?
 
人選は、もちろん会いたいなと思っていた人たちプラス、紹介だったり本当にたまたま街で会ったりした人も。勝手に事務所を調べて行ってトントンとドアをたたいて、アポなしで行ったり。快く受けてくれた人も怒られて載っていない人もいますし、警察を呼ばれかけたこともありました。野宿とかも初めてしました。サンタモニカのビーチにシャワーを浴びに行ったりとか。サンフランシスコのホームレスの人からもらったブランケットにくるまって、二人で夜の寒さをしのいだりとか。それ、カナダ製のけっこういいヴァージンウールのやつなんですけど、まだ大事に持っていますよ。カメラにしてもピントの合わせ方すらわからなかったんで、最初にインタビューしたピーター・サザーランドに教えてもらったんです。「こうやって使うんだぞ、ニコンは」と教えてもらって、「ありがとう」みたいな。そんな悲惨な状態からスタートしたんですけど、でも、絶対に形にしてやろうという決意は強くありました。


—そのステップ・バイ・ステップの過程で、本当に会いたかった人に会えて、自分が変わっていったりというのはあった?

オープンマインドであるべきだなというのは思いました。もちろん厳しいジャッジとか審美眼というのは大事にしなきゃいけないと思うんですけど、それだけじゃなくて、こうしたら良くなるよ、とかっていう気付きとかに常にオープンでいて、かつそういうことが伝えられたらいいなと思います。あと、何かをやろうとしている人たちに対して、背中を押してあげられたら。こういう経験をしている人ってそんなに多くないと思うし、やればできるよ、逆に言うとやらなければ絶対にできない、始まらないなというのはすごく感じるので。


—今回は共同制作プロジェクトで悠くんにはインスピレーターを務めてもらうことになりました。好奇心ということがテーマにあってぴったりだと思いますが、プラス、当たり前じゃない何かをみんながそれぞれの発想とか考え方を出し合うことで新しいものが生まれるといいのではないかと。

実験ですよね。

—だから、やってみなきゃわからない部分もありますけど、それをみんなで発見しながら、気付きながらできるといいなと期待しています。

そうですね。良いものを作ることは大前提で、楽しみながら仲良くなれたらいいですね。それでまた別の何かを生み出す力になったり、きっかけになったり、自分自身の成長にもつながったりしたら、よりやった意味があるのかなと。

—今回、ニットウェアデザイナーの具志堅さんにパートナー役として加わってもらうことになりましたが、具志堅さんについて少し教えてください。

一度見たら忘れないみたいな攻撃的なプロダクトって、情報がSNSやネットで流れる以上、スマホからそのオーラを出すのって最近は特に難しくなったと思っています。そんな時に、具志堅くんのセーターをInstagramで見つけて、「ヤバイな。なんだこれ」と思ったんです。それで、誰が作ったのか調べたら、それが「Kota Gushiken」というブランドで、青山で展示会をやるタイミングだったので見に行って。セーター以外にもカーディガンとかいろいろ作っていたんですけど、「物としてかっこいいだけじゃなくて、すごいパッションがあるな。泥臭いことをやっているな人だな」と思って。それで、経歴を調べてみたら、セントマーチンズ(英・ロンドンの名門ファッションスクール)出身で日本人だけど独特のアングルみたいなものがあるので、それはすごくユニークだと思うし。単純に、作っているものに対してのリスペクトがないと良くないじゃないですか。それで、ピンときたのが具志堅くんだったというわけなんです。


—その他全然違うジャンルのメンバーに参加していただく予定です。

具志堅くんが今までやっていないこと、具志堅くんがやって良かったな、好奇心がそれこそくすぐられたなとか、そういうものになったら僕的には一番素敵だと思うんです。彼が今までチャレンジしていないことにチャレンジしてくれればいいですね。

—それぞれだったら絶対にやっていないようなことだったり、生まれていないものが生まれたり、というのだといいですよね。

それはすごく思います。まずは自分たちが楽しんで、それが伝わってくれたら嬉しいですね。


Interview: Hiroshi Inada
Text: Yoshiki Tatezaki
Photo: Syuya Aoki

Location: INC COCKTAILS
http://www.bar-inc.co.jp/


好奇心あふれるメンバーが集結し、共同開発企画がついにスタートする。
KODEではその模様を余すことなくお届けし、アイテムが完成した暁にはプレゼントとしてオファーするのでお見逃しなく。
さらに今なら、好奇心あふれる新発想なアイテムがもらえるキャンペーンを実施中。さぁ、チェックしよう!




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