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クールトーク。第9弾 三軒茶屋「おでん学園」で語る、いくつもの顔を持つ男たちのリアル


好奇心を刺激する、ユニークなおでん屋に流れる空気

「おでん屋」といえば老舗が多く、長きに渡って愛されている名店揃いなイメージがある。店構えもクラシックで赤提灯が光るようなノスタルジックな空間を想起してしまうが、三軒茶屋の商店街から一本路地裏に入ったところにある[おでん学園]は、オールドスクールなおでん屋とは一線を画す(同じく赤提灯が吊られているが)。店主は曜日毎に交代制で、メニューも流れる音楽も、その時々で微妙に異なる。時にテクノを聴きながら、ダシが染みた大根を食べられるのだから新感覚だ。店に立つ人が違うので、集まってくる客の職業や趣味も千差万別。三軒茶屋という地域性も相まって、様々なカルチャーを背景に持つ人々が交差するユニークな場となっている。

そんな[おでん学園]を訪れたのは、モデル・俳優・ミュージシャンなど、様々なジャンルで活躍するこだまたいちさん。迎えるは“日曜日店主”を務める山口輝さん。この日はエプロンを身につけているが、平日はビジネスマンとしてスーツを纏う。ひとつの仕事だけでなく、好奇心を持ち複数のことに挑戦する生き方を選んだ二人。新しいスタイルの店で語り合う、2人の現在地点とこれから。


—こだまさんはよく外でお酒を飲んだりするんですか。

こだま:お酒を飲むのは好きなので、もちろん外でも飲みますよ。でもおでんを食べながら飲むことって、今まであまりないので新鮮な気持ちです。


—そういえばお飲み物がまだでしたね。お好きなものをどうぞ!

こだま:そうですね……。麦焼酎、ソーダ割りでお願いします!



—お邪魔させていただいているおでん学園ですが、少し変わった営業形態のお店ですよね。どのようなお店なのか、教えていただいてもいいですか。

山口:曜日によって店長が変わるシステムで、僕は日曜日に店長を務めています。おでんは店長次第でカスタム可能なので、この前は冷やしおでんを出してみました。今日はいかにも夏らしく、暑い一日なのでトマトやトウモロコシも入れています。店の中にはおでんの屋台があるんですけど、これは実際に外で引いていたみたい。今お店として営業しているこの場所は、その屋台を駐めておく車庫だったらしいんです。でも常連さんが、屋台を出す前から車庫で飲むようになっちゃったらしくて。じゃあもう路上に出さなくてもいいかというのが、お店の始まりらしいです。僕もお客さんから聞いた話なんですけど。



—平日は別なお仕事をされている中で、店長として働いている経緯を教えてください。

山口:「日曜日の店長を募集しているからやらないか」と、僕の友達が声を掛けられていたんです。結局彼はやらなかったんですけど、なんだか面白そうだなと思ったので、じゃあ代わりに僕がやろうかと。平日は全く別の仕事をしながら、日曜の夜はお店に立っています。普段やってる仕事も楽しいですけど、そこにはない楽しさがお店にはありますね。



—こだまさんもモデルや俳優、ミュージシャンと、多彩に活動されていますが、モチベーションはどのようなところにあるのでしょうか。

こだま:やりたいと思ったことは、好奇心の赴くままにやりたいと思っています。でも同時に、肩肘を張る生き方はしたくないんですよね。様々なジャンルに挑戦して肩書きが増えることって、一見難しそうですが、ハードルを下げることでもあると思うんです。「役者なのに音楽もできるんだ」とか、逆に「ミュージシャンなのに演技うまいじゃん」みたいな。ひとつのことを頑張って無理しちゃうよりも、飄々といろいろなことをやる方が自分らしいかなって。

山口:僕も根本は似ているんですけど、表現は逆ですね。肩書は欲しくないというか、「一体あの人何やってるんだろう?」くらいの人でいたい。何かよくわからないけど、面白いことやっているよねって。ここ(おでん学園)以外でもモデルをやらせてもらったり、スパイスカレーのポップアップを開催したり。


—好奇心が強く様々なことに取り組まれている印象を持ちますが、そんなお二人が人生で影響を受けたものは何ですか。

こだま:さくらももこさんの作品には影響を受けています。「ここにあったはずのものがない、一体誰が食べたんだ?」みたいな、日常における小さな出来事が、大事件みたいに扱われるじゃないですか。そういうところになんだかホッとするし、気づかされることがある。あとは大学が英文学科だったので、サリンジャーとか海外の文学も好きですね。

山口:本も映画も好きですけど、影響を受けているものって何だろう。難しいですね。最近読んだ本で印象に残っているのは、世阿弥の『風姿花伝』の現代語訳。「能とはなんぞや」ということが書かれているんですけど、能の世界で大事にされていることが、他の世界でも当てはまっていて面白かった。最近読んでみたいのは、勅使河原蒼風という人の『花伝書』です。興味が色々なものに向いちゃうんですよね。


—様々なカルチャーを通っていますね。お仕事に話を戻すと、最近はひとつのことだけでなく、複数のことをやる人が増えていますが。

こだま:音楽をやっている人が映画に出たりすることが増えていますよね。この流れって、進んでいるというより、昔に戻っているのかなと思うことがあって。昭和はそういう文化だったんじゃないかと思うんです。一つのことだけでなく、いろいろなことが出来た昭和芸能のスターに僕は憧れていて。クレイジーキャッツとか、戦前のコメディアンの古川ロッパさんとか。彼らをYouTubeで遡って探すのが好きで。あんまり遡ると出てこなくなるから、余計興味が湧いて古本屋に通ったり。元々ザ・スパイダースというバンドからキャリアをスタートされている堺正章さんも大好きで。演技もとてもお上手ですし、バラエティで司会もできる。人間力全開で勝負している感じがすごいです。


—堺さんから影響を受けている部分も多そうですね。

こだま:受けていますね。憧れていますし、ひとつの理想の姿かもしれないです。僕は一つのことだけをやっていると、ずっと考え込んで頭がパンクしちゃうタイプ。ただ他にもやらなきゃいけないことがあると、一個一個に向き合う時間は短くなるけど、毎回答えを出していくしかないじゃないですか。そうやって次に進んでいくイメージですかね。山口さんは平日お仕事もされていて、休みとかあまりないですよね?

山口:一応19時から25時が営業時間なのですが、状況次第で早朝まで営業することもあります。そこから会社に向かうことになるので、確かにハードだけど慣れちゃいました。僕もひとつのことをずっとやるよりも、いろいろなことをやっていたくて。そうしている内に他にもやりたいことが出てきちゃう。ちなみに今は水墨画に興味があリます。そんなことの繰り返しなのかなって。次に何をしているのかと聞かれたらわからないけど、面白いと思ったことに対して、正直に生きていきたいですね。



こだまたいち
1991年愛知県生まれ。2012年から2018年まで、メンズノンノ専属モデルとして活動。ロックバンド「THE TOKYO」ではギタリストを務める他、フォークシンガーとしてソロ活動も。2019年9月20日公開予定の伊坂幸太郎原作、今泉力哉監督作品『アイネクライネナハトムジーク』では、物語の鍵を握る謎の路上ミュージシャン役で出演。

Instagram: @taichi_kodama

おでん学園
東京都世田谷区太子堂4-8-6 サンハイツ1F
営業時間は日替わり、不定休

Instagram: @odengakuen

Text: Shunpei Narita
Photo: Kisshomaru Shimamura

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