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クールトーク。第5弾 ミュージシャン・スダシンイチの多彩なる仕事術


今の時代に求められるアウトプットの形

ISSEY MIYAKEグループのデザインチームに在籍という、異色の経歴を持つミュージシャン・スダシンイチさん。GoogleやSONYのテレビCMへ楽曲提供などを行いながら、現在まで自身のCDを9枚リリース。第一線で創造性を発揮しながら、伝統工芸にストリートの感性をミックスさせたプロダクトブランド「TALKY」、7inchレコードを模したプレートにQRコードをプリントし音楽や映像などのデジタルコンテンツが楽しめるプロジェクト「PEOPLEAP」にてデザインディレクターを務めている。幅広い分野で高度なアウトプットを重ねるスダさんは、何を考えてクリエイティブに挑んでいるのか。


—スケートボード型の箸置きなど、陶器や伝統工芸にストリートの感性を落とし込んだプロダクトブランド「TALKY」ですが、こちらのプロジェクトをローンチした経緯を教えてください。

このプロジェクトが始まったのが2008年くらいなんですけど、ちょうどファストファッションが台頭してきた時期で。H&MとかZARAの人気がありました。そこへのカウンターとまでは言わないですけど、もうちょっと長く使えるプロダクトや、より生活に意義あるものづくりがしたかった気がします。


—中でも陶器のプロジェクトを始めようと思ったのはなぜですか。

メンバーの一人が長崎県の波佐見町出身なんですけど、どうやら波佐見町には「陶器の墓」という、割れた陶器を山のように一つの場所に積んでいる場所があるらしくて。そこの写真を見せてもらった時に、「この陶器をリメイクしたり、リプリントすることで、商品として蘇らせることができるんじゃないか?」と思ったことがきっかけです。


—一枚の写真が心を動かしたんですね。

はい。だから「TALKY」の最初のコレクションでは、B級品や在庫過多になってしまった陶器を削ってリメイクするというのが一つのテーマでした。まだまだ使用できるはずのB級品の波佐見焼を自分たちなりにアレンジ、商品化して。サステナビリティやリメイクの文脈が理解されている今でこそ、こういうアイテムって評価されますけれど、当時はライフスタイルショップなんて言葉もない時代でした。あったとしてもコンランショップやシボネくらいで、ぼくらの商品は全然売れなかったですね。


—マーケットがまだ成熟していませんもんね。パイオニアの厳しさといいますか。

僕たちは「陶器ってめちゃめちゃ面白いじゃん!」って感覚でやっていたんですけど、ダメでしたね。そんな中で2010年くらいにスケートボード型の箸置きをリリースしてから、徐々に認知度も上がって、売れるようになっていきました。藤原ヒロシさんがInstagramや雑誌に掲載してくれたことも大きかったです。この箸置きは本当に手が込んだアイテムで、ウィールの部分を手作業でつけているんです。スケボーを組み立てるみたいに波佐見の職人さんが作ってくれています。


—マークゴンザレスのような、ストリートのアイコンともコラボレーションしてますよね。その理由を教えてください。

純粋にみんなの共通点なんです。ストリートカルチャーやヒップホップが大好きで。わかりやすくいうとビースティ・ボーイズだったり、音楽的にはそういうものを通ってきた。自分たちが影響を受けたカルチャーを商品に落とし込んで、僕たち世代の民藝品を作ってみたかったんです。


—7inch型の一枚のプレートにデジタルコンテンツが詰め込まれているという「PEOPLEAP」ですが、こちらはどんなプロジェクトなんでしょうか。

2015年に動き出したプロジェクトで、TALKYのメンバーに比留間太一を加え始まりました。お皿の裏にQRコードがプリントされていて、それを読み取ることで音楽や映像が楽しめるというもの。企画自体は2014年の忘年会かな。「食器という毎日使う日用品に、デジタルコンテンツを落とし込むことで何か面白いことができないかね?」って話になり。飲み会での何気ないからプロジェクトが展開していきました。



—「TALKY」も「PEOPLEAP」もですが、何かプロジェクトを始めた時に、きちんと形にするために必要なことはなんでしょう?

最終的には好きという気持ちが一番だと思います。やっぱり人って、好きだとシンプルに行動するじゃないですか。逆にどこか自分の心に嘘をついていたり、誰かに命令されていたりするとスピード感や商品の質って落ちてしまう。あとは言い方がよくないかもしれないけれど僕らの商品は、「大人の悪ふざけ」だと思っています。年齢を重ねメンバーの実力がついてきて、社会的にも実現できる物事が増えていきますよね。そこでメンバーの力を合わせて、自分一人ではできなかった何かを形にすることがとても楽しいんです。このプロジェクトの当初の思いは正直なところ「ターンテーブルに寿司を乗っけて、回転寿司がしたい」っていう僕の純粋な欲求がありました。だから実際にターンテーブルに乗せて、回転寿司をやった瞬間に、「俺はやりきったぞ!」って思いました。


—それを一緒にやろう!となる仲間が最高ですね。

通ってきたカルチャーだったり、言わずもがなの共通言語があるからかもしれません。


—スダさんのキャリアの話になりますが、音楽やファッションなど、様々な分野で多彩に活躍されていますね。

最初はドメスティックのブランドでデザイナーアシスタントをしていました。その後ISSEY MIYAKEグループで、レジェンドデザイナー達と企画として沢山の仕事をさせていただきました。最近では緑があって武蔵野美術大学で講師を務めたりしています。でも洋服やプロダクト、講師の仕事以外に音楽活動はいつも基本的に中心にあって。なぜかというと僕が一番好きなものはやっぱり音楽なんですよ。だから音楽の仕事が大きなウェイトを占めています。ただ一個のことをしているのは辛くなっちゃう飽き性タイプなんです。だから音楽だけずーっと作っていると、デザインのことがいいなぁと思うし。逆にTALKYをやっていると、やっぱり音楽いいなぁって感化されたりします。自分の飽き性をポジティブに考えると、仕事の業種を横断する際に起こる気づきというか、お互いにフィードバックされることの中に学びがあって。地道にレベルを上げながら制作ができている感じはあります。


—これからどんなプロダクトを作っていきたいですか?

正直それは見えない部分が多いです。というのも、僕たちが何かを作る動機って、「こういうことがやりたい!」と思えてからがスタートで、飲み会とかでブレストして、そこでのいい塩梅のグルーヴが生まれてからなんです。逆に自分たちがビビッときてないものを適当に作っても、あんまり良いモノにならないと思うんですよね。だから「新作は?」って聞かれたら、正直に「無いね!」って答えます。少し話が飛んじゃいますけど、今の時代って、モノを作って売るペースや消費のスピードが速すぎると思うんです。だから消費者に届く前に、もう次のモノづくりをしている。でもそれってあんまり響かないんですよね。僕たちとしては、自分たちが心から気に入っている定番商品を、長いスパンをかけても着実に届けていきたいし、そういうモノづくりのあり方を提案していけたらと思っています。



https://sdadio.com
Instagram: @ss_twoth

スダシンイチ
ソロユニットTwothとして、GoogleやSONY等のTVCMや、NHKのEテレ「オトッペ」の音楽、アーティストとのコラボレーションなど数多くの楽曲を制作。2012年にはアヌシー国際アニメーション映画祭にて日本人初の音楽賞を受賞。ISSEY MIYAKE、FINAL HOMEのデザイナーという異色の経歴を持ち、プロダクトブランドTALKY・PEOPLEAPのデザインディレクターとしても活動中。

Text : Shunpei Narita
Photo : Yuri Manabe


自分の好奇心に従い、様々なジャンルでクリエイティビティを発揮しているスダさん。
だからこそ、ユニークなプロダクトをアウトプットし続けられるのだろう。
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