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クールトーク 。第14弾 河村慶太が手がけるリメイク


「明確な答えはあえて出さない」プロセスを経て、彼がアンサーとして打ち出す洋服たち

インスピレーションをもらえたり、こだわりを感じられたり、何かを始めるきっかけになったり。そんなトークを軸に、クールなモノやコトをみんなで楽しむ場「クールトーク。」第14弾には、リメイクブランド「YEAH RIGHT!!」デザイナーの河村慶太さんが登場。全く別物である洋服を掛け合わせることで、新たな意味を持つ洋服へと成立させるリメイクという手法。その道のトップランナーとして、今まで手がけてきたリメイクは数万着にも及ぶという河村さんが、大事にしていることは?

—リメイクブランドをやられているだけあって、もともと古着が好きなんですか。

特に古着好きじゃないんです。元から詳しいわけでもないし、自分たちが作る服の素材として見ているだけ。多分古着にこだわりすぎちゃうと、リメイクしたものというより、古着そのものが持つ力に頼ってしまうと思うんですよ。



—つまり古着として価値があるものを選んでいるわけではない、ということでしょうか。

リメイクと言えどもシーズンのコレクションごとにパターンがあり、量産前提でやっているブランドなので、セレクトする基準はレアなものだとか、古着としての価値の有無ではないんです。むしろ古着市場において、ある程度枚数が溢れているものを選択することが多いですね。


—リメイクという手法に辿り着いたきっかけを教えてください。

服飾の専門学校を卒業した後に「NOZOMI ISHIGURO」のアシスタントとして働いていたんですけど、3年くらいやったときに、イヤになって飛び出しちゃったんですよ。「もう服なんて…」と考えていたから、全然別のバイトをしながら食いつないでいていたんですけど。古着屋で働いている先輩から、「どうせ暇してるなら、ウチにある在庫をリメイクしてみない?」って声をかけられて。アシスタント時代にリメイクもやっていたことを、その先輩は知っていたんですね。リメイクした服を一着作っては、古着屋に持って行くうちに、「売れたよー」って連絡が来るようになって。いまメインでやっている「YEAH RIGHT!!」はもうひとりのデザイナーの井村と一緒にやっているブランドなんですけど、そのときから彼女と一緒に手を動かしながら作っていて。気づいたら「展示会とかやってみようか?」みたいな話になりブランドがスタートしていきました。


—ブランド立ち上げから来年でちょうど15年を迎えようとしていますが、リメイク以外にも、ブランドを問わずに袖にファスナーがついて交換できるプロジェクト“COMMON SLEEVE”や、自然農法でコットンを栽培、収穫したものでTシャツを作ったり、写真家の東海林広太さんとのビジュアルブック出版など、数え挙げればキリがないほど様々なことをやられていますね。


結局リメイクが起点になっている部分も多くて、たとえばデニムジャケットの袖をレザーにしたものを展開したとするじゃないですか。その次のシーズンはスウェットの袖にしよう、と思ったときに、それって別に自分たちで決めなくてもいい。むしろお客さんが「今日はレザーで、明日はスウェット」みたいに気分で変えられた方がいいなと。最初は自分のブランドだけでしたけど、30ブランドくらいまで増やして、ブランドを問わず袖を交換できるようにしました。それが“COMMON SLEEVE”のはじまりですね。コットンのプロジェクトについては、スーパーとかで「子供が魚の切り身を見て、本当の魚が想像できない」ってすごく話題になったじゃないですか。それは洋服も同じで、Tシャツを見てもコットンを想像できない。僕自身、一枚のTシャツができあがるまで一体どれくらい大変なのかを体感してみたかった。


—どれも工数がかかるし、それこそリメイクはビジネスとして確立するには大変だと思います。それでも敢えて挑む理由はどこにあるのでしょう。

別にそこに理由があるわけじゃないんですよね。僕デザイナーですけど、生地屋に言っても正直「これでこんな服つくれたら」みたいなインスピレーションは全くおりてこないんです。でも古着があって、「これをこうして……」みたいなことは考えられる。だから効率悪くてもしょうがない。何かを選んでいるというよりも、純粋にリメイクしかできない。

—「YEAH RIGHT!!」のブランドコンセプトに、「日々の暮らしがソースとなり、『既にあるもの』の価値観を更新/問い直す作業から浮かび上がる服。」とありますが、日常における気づきは、やはり大事にされているのですか。

これ正直だいぶ前につくったコンセプトなんですよ(笑)。でもいわゆる、「映画を見たり、旅行をすることでインスピレーションを受ける」みたいなことって自分にとってはゼロだから、日常的な部分の積み重ねでしか生まれ得ないと思っています。

—日常の体験がアウトプットに落ちていくということに関して、具体的な経験則はありますか。

具体的にと言われると、違う気がしていて。何にしてもそうなんですけど、明確な答えをあえて出さない状況が多いんです。インスピレーションの話もですけど、「この影響があってこれができた」みたいなことを定義してしまうと、それ以外にあったはずの大事なものがスルーされてしまう気がするから。


—最近はSDGsの流れでしたり、リメイクが一つのムーブメントとして注目を集めていますが、どう感じていますか。

体感的にはリメイクの波って、今までも何度か来ています。海外から取材のオファーがあったりするから、中でも一番大きい波な気はするかな。でも長くは続かない気がします、昨日まで“ファストファッション”って言ってた人が、“サステナブル”って言ってますからね。悪い流れじゃないからもちろん続いて欲しいですけど。

—今後の河村さんの展開についても教えてください。

古着のリメイクはもちろんやりながら、他のブランドの在庫を使うことも面白いかなと考えていて。百貨店だったり大手セレクトショップとかって、「スリーシーズン在庫を回すと、切り刻んで捨てる」みたいなルールがあったりするから。廃棄になってしまう手前で僕らがリメイクして、ポジティブな形の提案ができるようなプロジェクトを立ち上げたいと思っています。


河村慶太
1980年生まれ。文化服装学院卒業後、NOZOMI ISHIGUROアシスタントとして勤める。2005年、井村美智子とともにYEAH RIGHT!!設立。袖を交換/共有できる“COMMON SLEEVE”、コットン(和綿)を自分たちで栽培・収穫しTシャツを作る“KNOW COTTON PROJECT”、フォトグラファー東海林広太との写真展やビジュアルブックの刊行など多くのプロジェクトを企画。陶器ブランド「TALKY(トーキー)」、日用品×デジタルコンテンツを制作する「PEOPLEAP(ピープリープ)」のメンバーとしても活動。代官山の変則直営ショップ「SAMVA」共同運営など、多岐に渡って活躍。

Instagram: @yeah_rightii

Text: Shunpei Narita
Photography: Eisuke Asaoka


新規性溢れるプロジェクトを手がける河村さん。何か明確な筋道やプロセスを定義しない、ニュートラルなスタイルだからこそうまれる強さがある。いまKODEメンバー限定で、好奇心溢れる新発想アイテムをプレゼント。さぁ、チェックしよう!


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