search search

ベースミュージック通の隠れ家的バー「新宿ドゥースラー」

国内一のターミナルステーションからすぐのDJの溜まり場

爆音で浴びると身体が動いてしまうヘヴィなベースライン、そして高揚感を煽る小刻みのアーメンブレイク。ドラム&ベース、ジャングル、ダブステップなど低音の効いたダンスミュージックを包括した「ベース・ミュージック」と呼ばれるUK発のジャンルが日本に輸入され、その愛好家たちが集まるバーが新宿ドゥースラーだ。

新宿駅南口から徒歩4分の雑居ビル。細い階段を5階まで上り詰めると、黒と赤を基調にした20席ほどの店内がお目見え。奥にはDJブースがあり、ズッシリとしたサウンドシステムからは低音が響く。夜がふけるとどこからともなく客が集い、酒と音楽を嗜む場となる。


クラブ・シーンに直結したDJプレイ

店長のDONとタナコが経営するこのバーは7年目を迎え、毎日のようにDJイベントも行なわれる。老舗のダブステップクルーBack to ChillのDJである100mado、若手DJチームTrekkie Traxに所属するDJのAndrewなど、ベース・ミュージック・シーンのDJたちが名を連ね、小箱ならではの距離感の近いパーティが店内を賑わせている。

店内のいたるところにイベントポスターやフライヤーが散見され、ここを一軒目に寄って別のクラブにハシゴする場合も多々。年始の恒例行事となる周年イベントでは、3日連続で80組近くのアーティストが出演。満員になった店内は真冬にも関わらず熱気に満ち、泥酔者が続出するという、まさに狂宴だ。そして常連によってチャーミングなLINEスタンプ「スタンプ・新宿ドゥースラー」が作られるほどの親近感も個性のひとつ。


こういったコミュニティがあるのは、DONがもともとDJ活動を90年代から行なってきたことが大きい。ドラム&ベースが日本に輸入され始めた時期からDJを始め、都内各所のクラブでDJプレイを行い、現場のアーティストと交流を深めてきた。今年もジャングルDJのEd Soloを海外から招聘し、東京と大阪のツアーに同行する。そういった活動もあって国内にシーンが根付き、この店には音楽好きが集うようになったのだ。また、音に関して精通したDJたちを納得させるために、店内のサウンドシステムは音の鳴りを追求して改造をくわえてあるという、本場UKさながらのこだわりようだ。




ドライグリーンカレー目当ての客も

この店の特徴は音楽だけでない。どうしても音楽バーでのフードメニューはオマケのように感じてしまうが、実は食事も人気なのだ。この店の名物メニュー「ドライグリーンカレー」(900円)は、その味を再現する客が出るほどの人気の逸品。常連はみな知っている味だ。

耳慣れない名前のドライグリーンカレーは、汁っ気のないグリーンカレーのこと。固めに炊かれたライスの上には、カレーペーストに挽肉と細かくさいの目切りになったタケノコ、エリンギ、ナスが混ぜられて、さらにトッピングされたフライドオニオンやナッツ、パクチーが食感を楽しませてくれる。口に含んでみると、しつこくないサッパリとした辛さが特徴だ。

その味の秘訣は、レモングラスやこぶみかん、クミンやターメリックなどのスパイスを用いてペーストから作っている点。店舗のある新宿は大久保のコリアンタウンが近いのでアジア系の食材が豊富。ゆえに食材もセレクトしているのだ。また、料理に使用する塩にもこだわり、おつまみのメニュー「アボカドの生ハム巻」の際には、シチリア島産の粗粒塩を使っている。開店してから毎日メニューを研鑽しているのが伝わる味だ。

もともとタナコは音楽イベントでフードブースを任されることが多く、イベントで人気な食べ物が「食感が楽しめる」「お酒のつまみになる」「冷めてもおいしい」という点に気付き、踊りながら喋りながら食べられるメニューを模索して、他にないカレーが出来上がったという。メニューは他にも豊富。タコライス(1000円)やチキンピクルス(700円/小500円)などスパイシーな料理が取り揃えられ、アルコールも無意識のうちに進んでしまう。


この店は、駅から近いのでフラッと気軽に寄るのも楽しみ方のひとつ。DJたちによって厳選された店内BGMを楽しむだけでなく、夕食をひとりで食べたくない方にもオススメの店だ。もちろん日々通いつめて、音楽シーンにコミットしていくのも楽しいはず。DJパーティも募集しているので、腕に自身のある方はDJブースに立ってみては?

TEXT: 髙岡謙太郎
PHOTO: 寺沢美遊

SHARE

}