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TOKYO COFFEE FESTIVALの仕掛け人・大槻佑二がコーヒーを通して伝えていること

「コーヒーの大会では優勝することができない」そう語るバリスタが仕掛けた国内最大級のコーヒーの祭典

2万人以上の人々が訪れる国内最大級のコーヒーのお祭り「TOKYO COFFEE FESTIVAL」を青山ファーマーズマーケットと共同で仕掛け、青山通り沿いのコーヒーショップ[THE LOCAL COFFEE STAND]でヘッドバリスタ兼店舗責任者を務める大槻佑二さん。「僕はコーヒーの大会で優勝することができない」と語る彼は、クラフトマンというよりプロデューサータイプ。独特のアプローチでコーヒーの世界を闊歩している彼が、コーヒーを通して伝えているものは何か。

 
—大槻さんがコーヒーの世界に足を踏み入れたきっかけを教えてください。
 
レストランのサービスとして働いていたときに、エスプレッソマシンを触る機会があったんです。そこからコーヒーに興味を持って、もっと本格的に勉強してみたくなり、バリスタ世界チャンピオンであるポール・バセットが監修するお店でコーヒーを淹れていました。その頃に働いていた上司と「コーヒー業界を変えたい、もっと盛り上げたい」って話をよくしていて。当時一緒に働いていたメンバーは職人気質なバリスタばかりで、自分は全く違うなと感じることが多かったんです。


—具体的にどのような違いを感じていたんですか。
 
職人タイプのバリスタのロジカルな思考に、正直考えが及ばなかったんですよね。逆に自分の得意分野は何だろうと思ったときに、人と人とのコミュニケーションだったり、常連さんをどう増やしていくかみたいなところ。だから[ポール・バセット]を卒業して、神保町に[GLITCH COFFEE & ROASTERS]というお店の立ち上げを手伝わせていただいたのですが、当時の僕の仕事は、焙煎とかではなく、多くの人にお店を知ってもらうには何ができるかを考えることでした。1日にコーヒー屋さんに来る人数なんてたかが知れているし、コーヒーが好きじゃない人は友達に連れてこられない限り来ないですよね。だからコーヒー人口そのものを増やさないと何も変わらないと思っていて。そのときにヒントとなったのが当時流行っていたオクトーバーフェストや肉フェスだったんです。


—コーヒーでも何かイベントを企画したら良いんじゃないかと思ったわけですね。

イベントを始める方法なんて知らないから、手当たり次第いろんな人に、「やりたいです」と言い続けるくらいしかできない。でもそうするうちに青山rファーマーズマーケットの方々にフェスティバルの企画をプレゼンできる機会をいただいて。
 
—そこから第1回目のTOKYO COFFEE FESTIVALがスタートすることになるわけですね。
 
開催1カ月前のこととか、全然覚えていないですけどね。プレッシャーがすごくて。もし1回目が失敗したら、コーヒー業界を辞めるつもりでした。出店者さんによっては、3日間くらいお店を閉めてわざわざ来てくれる。もし人が全然来なかったら、3日間の売り上げを合計30店舗分無くしてしまうことになるから、それは罪だなと。
 

—苦しくて逃げたくなるような瞬間もあったかと思うのですが、そんなときに踏みとどまることができたのは何があったのでしょうか。

強いて言うなら「人からどう見られたいか」ですかね。特別高貴なものがあるわけじゃない。逃げたら「やっぱ、あいつ逃げたな」と思われるだけですよね。あとはフェスティバル自体はやった方がいいって確実にわかっていたから。


—今年で12回目を迎えましたが、回を重ねるごとにバージョンアップしているという実感はありますか。

第1回目は、飲み比べはメインだと思っていなかったので、飲み比べセットを300セットぐらいしか用意してなかったんです。それが1日目の午前中で無くなっちゃうことがわかって、急遽東急ハンズで調達したり。本当にバタバタでした。飲み比べの集計もシールで一枚一枚集計していたので大変で。今はコインを使っているから、重さを計れば一発でわかる。オペレーション面は特に、進化している感じがありますね。



—今回(2019年19・20日開催)のTOKYO COFFEE FESTIVALにはボランティアスタッフが70人以上いたそうですね。大槻さんに引き寄せられているような気もします。
 
本当にありがたいです。同じくチームの話をすると、ヘッドバリスタをやっている、[THE LOCAL COFFEE STAND]では特別な採用活動をしたことがありません。「働きたいです」って話しかけてくれた子だったり、僕がスカウトしたりとか。想いに共感して一緒に走ってくれることはとても嬉しいです。
 
—大槻さんのようなタイプのバリスタは珍しいと思うのですが、独自のスタイルを築き上げるにあたり影響を受けているものはありますか?
 
じっとしていられるタイプじゃないので、映画や本もあまり見ないんですけど、唯一、北方謙三さんの『水滸伝』という中国の長編小説が好きで。全51巻くらいあるめちゃめちゃ長いものなんですが、二十歳くらいの頃から繰り返し読んでいて。「こんな国は、俺たちが変えてやる」という想いを持った登場人物が、仲間を募って、資金を蓄えて国をつくる話です。
 

—どこかコーヒーフェスティバルに似ていますね。
 
ほんとですよね。物語自体が長いから、登場人物も丁寧に描写されていて、キャラクターひとりひとりが勉強になるんですよ。
 
—登場人物の中には、自分と重なる人もいたりしますか。
 
それでいうと僕は何もできないやつかなぁ。策略も練れなければ格闘も苦手、お金も集められない。でも誰かが助けてくれるという。正直僕は何もしてなくて、本当にいい仲間に支えられている。バリスタだけどコーヒーの大会で絶対優勝できないし、何もできません(笑)。そんな自分だけど、こうして人が集まってくれることは本当にありがたいです。その分といったら押し付けがましいですが、スタッフひとりひとりへの思いも強いです。
 

—スタッフの方をどういう風に見られていますか。
 
ウチの店に来たのであれば、コーヒーを淹れる環境があるということで満足してほしくない。どうやったら経営を成り立たせることができるんだろうとか、そういう部分も理解できるようになってほしい。僕も決して詳しいわけじゃないけれど、そのあたりがちゃんとわかる大人に育ててあげたいなと思う。だから今いるスタッフ満足させてあげられるような組織づくりも大事にしたくて。その過程でコーヒーの周辺にある環境問題とか、雇用問題とかにも向き合っていけたら。別に環境のことにめちゃくちゃ興味があるわけじゃないけど、確実に隣接している部分だから。TOKYO COFFEE FESTIVALというメディアを通して、挑戦できることを少しずつ広げていけたらと思っています。



大槻佑二
[Paul Bassett]のバリスタとして4年間活躍後、 2015年9月青山の国連大学にて「Tokyo Coffee Festival」を初開催。 2016年渋谷に[THE LOCAL]のヘッドバリスタ兼責任者として着任。
 
The Local Coffee Stand
東京都渋谷区渋谷2-10-15
8:00~19:00(平日)
11:00~19:00(土日祝)
 
Instagram: @thelocal2016, @yuji__otsuki
 
Text: Shunpei Narita
Photography: Yoshimi Kikuchi



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応募期間:2019年9月24日(火) 11:00 ~ 2019年10月31日(木) 9:59
詳細はKODEメンバーに登録/ログインしてチェック。


本キャンペーンは終了しました。

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