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代々木上原的小話 その1「不思議なイベント」

代々木上原には独特の下町文化が存在している。世に広がる上品なイメージの下には、そこで生活をしていなければ知ることのできない魅力が潜んでいるのだ。この地域一帯に住む人々は口を揃えていう、「もうここから外には出られないね」と。皆、神山町より渋谷方面へは出ずに富ヶ谷・上原・幡ヶ谷をテリトリーとしているし、徒歩5分圏内での引っ越しを繰り返す人もいる。一度腰を据えたが最後、なかなか離してくれない不思議な力をもつ代々木上原的小話を、ここでひとつさせていただこう。


- 魅力的な飲食店があつまる町

代々木八幡から代々木上原への抜ける商店街には無数の個性豊かな飲食店が軒を連ねる。この小さな区画にも関わらず、富ヶ谷・上原に存在する商店会はなんと8つ。渋谷の隣町でありながら、駅ビル以外にはほぼチェーン店は見られない。その代わりに昔懐かしい赤提灯の店から、カジュアル・ビストロ「PATH」やコーヒーショップ「Little Nap COFFEE STAND」のようなお洒落な店が集まっているのだ。

遠方から有名店を目指して訪れる人々が行列を成すことも多いこのエリアだが、地域住民が夜な夜な集う店もたくさん存在する。さらに特徴的なのはそうした飲食店同士は仲が良く、結構な頻度でコラボイベントを開催していたりする。今回注目したのは、そんな独自のおもしろい企画が目白押しな中でも、ちょっと特別な常連客たちと飲食店のコラボ。常連客の1人であるさゆりさんが考案したメニュー、その名も「さゆりバイス」が主役のイベントだ。


- 上原で繰り広げられる不思議なイベント


日曜日の昼下がり、クラフトビールバー・終日oneで「さゆりバイスの夕べ da one ♡」なるイベントが開催されていた。上原の昼飲みを盛上げるべく、終日oneの店長であるナオヒロック氏、イラストレーターの白根ゆたんぽ氏、そして上原に住む会社員「さゆりさん」を中心に企画されたイベントである。BGM係としてDJを務めるのは、なんと近隣の飲食店オーナーや常連客だという。


日曜日の昼にも関わらず店内は上原の住民たちで溢れており、一角ではゆたんぽ氏が「さゆりバイスステッカー」を販売。和気藹々とした空気の中、普段はカウンターを隔てて飲んでいる人々が一緒に音楽とお酒を楽しむ様子は、この地域に残る昔ながらの温かさを感じずにはいられない。どこか1店だけでは作り出せない、エリア全体によって生み出される「ご近所さん同士」といった安心感があった。


全国各地からよそ者が集う側面がある一方で、町に根ざしたコミュニティが残る一面もある。東京という場所は、様々な人がやってくるからこそ、あらゆる人を受け入れる温かさも併せ持つのであろう。代々木上原という場所には、新たな住民をすぐに取り込んでしまう不思議な魅力が住民たちの手によって、今もつくり続けられている。

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