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昭和の建築を再生させたCOEDOビール醸造所

埼玉県川越を拠点としたコエドブルワリーは「サステナブルなクラフトビール生産」を掲げて、2016年9月に醸造所を移転した。移転先は緑豊かな自然に囲まれた埼玉県東松山市。川越から車で15分ほど北上すると到着する。


- 昭和50年代の建築をフル活用した醸造所




ブルワリーを訪れてまず驚くのが、その圧巻の佇まい。イメージしていた工業的な醸造所とはかけ離れた、歴史を感じさせる威厳を持った建物なのである。聞くと、なんと昭和50年代に建てられ企業の研修所として使われてきた美しい歴史ある建築を引き継ぎ、できる限り建物はそのままに醸造所へと改修したという。背後には森が広がる自然と一体となった立地は、まさに有機農業として企業をスタートさせたコエドブルワリーの思想が体現されている。

奥には今後タンクを新設できるスペースも確保されている

醸造スペースは元研修所の施設をほぼ有効に活用されている。ドイツ式の醸造スタイルを採用しているコエドブルワリーでは醸造過程ごとに部屋を分けるため、教室として使われていた部屋の区画をそのまま活用できるのだ。


真空充填機械は創業時より変わらないドイツ製のものを移転前の工場から引き継いで使っている。「もう20年も使っていることもあり、この機会にメーカーに買い替えを相談してみたら『何言ってんだ!うちの機械はあと50年は使えるぞ!』と言われて。商売っ気がなく、職人魂が強いのがドイツらしくていいですよね」(COEDOビール 朝霧)と、どこか嬉しそうに教えてくれた。


- サステナブルなクラフトビールの生産スタイル

敷地内に新たに掘った井戸から醸造用水をひき、醸造活動で排出される水もブルワリー内で浄化し自然に帰す。同様に、醸造過程で排出される麦芽の粕や酵母は近隣の農家で飼育されている牛・豚の飼料として利活用されているそうだ。最近ではコエドブルワリーの飼料で育った牛を「クラフトビーフ*」と名付けてコエドビールと共に提供する店舗も登場した。

*注: クラフトビーフの名づけ親は国分牧場を経営する國分唯史

コエドビールの生産過程で作られた飼料を食べ、農家の愛情と手間をたっぷりかけられて育ったクラフトビーフ。同じように環境への配慮をふんだんに施した醸造所で、朝霧率いるコエドブルワリーの想いがぎゅっと詰まったコエドビールと共に味わう贅沢は格別なものであろう。


- 醸造はアート & サイエンス

「醸造はアートアンドサイエンス」と言う朝霧。

20年以上続けてきた中でのコエドの信念は「アート & サイエンス」。「醸造はアートアンドサイエンス。サイエンスだけでも、アートだけでもいけない。ビールにわかりやすい個性をつけるのは簡単だが、全体に飲みやすいバランスにすることが長く愛されるためには重要。そのためにはしっかりと科学的に考える必要がある」のだと、朝霧は教えてくれた。

味は勿論のこと、原材料や醸造所の環境、生産活動における排出物の利活用にまでこだわりを追求するコエドブルワリー。ここでしか生み出されない味が、幾度も世界のビールコンテストで王座を獲得するのも納得である。

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