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世界を旅するハヤシ商店

大いなる新たな出会い
内側と外側から見える景色



自分ではコントロールすることが出来ない衝動に動かされる時がある。いくつものシーンを知り尽くしてストリートを歩き、それぞれのスピードで過ぎ行くカルチャーを大いに遊び、ファッションも、ナイトライフも、きっと、感度が高い人ほどよく遊ぶことが出来る。そして究極の遊び方を一つ見つける。カルチャーやシーンというフレームから飛び出して旅に出ていたい。それもガイドブックや広告にも載っていない場所へ、地図を捨てて気持ちが向く方へ、自分自身の感性で歩き、自分自身の声で話し、やがて誰かに出会い、そうやって自分自信がシーンの中心となるのだ。


世界をめぐる旅を通して見えたカタチ−

中国からはじめたトルコまでの旅。林成樹さんは23歳で出発した世界への旅を通して、各地の色々なモノを見て感じ、色々な文化に身を置いて、そこで出会った様々な人々と交わった。そんな世界の旅の経験をきっかけに、弟である厚輔さんとご兄弟ではじめた「ハヤシ商店」。旅から戻ったあとの10年もの間、胸の内で構想し続けた上に出来上がった都会のオアシスを訪ねた。


「世界をめぐる旅をきっかけに、いつか自分のお店をやりたいなと思っていました。旅を通して感じたことがたくさんあって、基本的に僕が旅をする理由の一つはモノを見るということよりも、色々な人に出会いたいということが強いんです。なので旅の経験をお店に取り入れるということもそうですが、お店をやっているとたくさんの人に来てもらうことが出来て、旅をしている時と同じ様に新たな出会いがここで生まれます。料理人の弟と一緒にこの「ハヤシ商店」をやっているのですが、やっぱり彼も1年間旅に出て、色々な経験をしてこの場所にいます。僕たちはそういった人と人が出会うということが好きなんです。」


新たなる出会いを求めて−

世界という大きな旅によって大きな価値観を得たお二人にとって、帰国して地元札幌に戻った時に受けた街の印象にどこか引っかかるものがあった。やはり、日本は忙しい街として映ったのだ。いっしょうけんめいに働いて、時には疲れてしまうこともある。お二人はそんな元気のない1日を過ごす人たちのために、少しでも心やすめる場所を作りたかった。

「ここには“小さな旅”というコンセプトがあるんです。そのために世界の国々を感じられる様な内装にしています。バーカウンターがアフリカで、向こうのテーブルがヨーロッパで、その隣はイスラム、キッチンがアジアといった風に世界を感じられる様にしているんです。どこか決まった一つの地方だけではなくて、一つの空間ですべての大陸を現すことを意識しています。ここに座っている時だけでもどこか非日常を感じて、異国の地にいる気分になってもらえると嬉しいですね。」


「ハヤシ商店」という旅の周りかた−

「座る場所によって見える景色が違うので本当に何度来ていただいても、その度に違った見え方が出来ると思います。いらっしゃったその日がどういう気分なのかということから料理の方で工夫してお出し出来ることもあります。」


世界を旅した兄弟の見る景色とは−

北海道の地に生まれた「ハヤシ商店」という新たなる“旅”の居場所にミントの香りを求めて、その豊かな香りをオリジナルメニューにしてもらった。人と人との交わりを楽しむ「ハヤシ商店」ならではの心からの振る舞いに、ミントがつなげる新たな出会いを感じてみよう。

 

「ラープムーという料理なのですが、ラオスやタイの北部のあたりで食べられているごく一般的な家庭料理です。現地では本来ミントを入れているのですが、ここでは普段はミントを入れずに作っています。今日は北海道ミントの美味しさを知って頂くためにたくさん入れてみました。基本的にはアジアの料理は香草がたっぷり入っていることが多いですね。ラオスを訪れた時には、本当に何もない町だったのですが、だからこそ何もないことの豊かさを感じました。1日に数時間しか電気が通っていないところもまだまだたくさんあるんですよ。でも、そこに住んでいる人たちって本当に良い人たちばかりで表情がとても豊かなんです。」


訪れた国々の料理の中から、「ハヤシ商店」はレシピの種を見つける。各地を歩いて、文化そのものを食べてきたからこそ出来る「ハヤシ商店」の味は、日本の四季と心もちによってメニューに加わるのだ。


「カイピリーニャというブラジルのお酒です。ライムとカシャーサというスピリッツを使っていて、これもやっぱりブラジルの一般家庭でよく飲まれているものです。夏には爽やかな感じを楽しめます。」

 

かけがえのない北海道への愛−

世界を旅して、その大きさも狭さも見て感じてきたご兄弟、お二人の見てきた景色をそのままに見ることは確かには出来ないのかもしれない。ただ、世界の断片を目にすることが出来る。手にとって食べることが、話すことが出来る「ハヤシ商店」がここにある。お二人の経験した旅のカタチが現れて感じることがすべてなのだ。

「今までは世界を旅してみたり、外ばかりを見ていたのですが、一度飛び出してみると、外から内側を見ることも大切なことなのだとわかりました。山奥の村などにも行きましたが、この北海道もまったく引けをとらない大自然がありますよね。世界中で知り合った多くの旅なかまが、これまでの最高の土地に北海道をあげるんですよ。それってすごくうれしいことですよね。」


北海道に帰ってきて、この地に還元する自然体の姿がとても眩しく見える。世界中の色に彩られた空間に多様な文化が溢れる。ミントの香るラープムーに旅のインスピレーションを受けて、カイピリーニャの澄んだ甘みがイメージを冴え渡らせる。のどを過ぎるミントの香りに深い緑色を思い出して、突き抜けるような美しい空を思い出す。世界にはいろいろな場所があるのだろう。ミントの香りがくすぐって、また次の旅へ向かいたくなる−

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