search search

新たな液体体験を生み出す「LIQUID FACTORY」に迫る


新世代のバーを牽引するクリエイティブなスポット

奥渋と呼ばれ注目度が増すエリアに、バーテンダーのコワーキングスペースを併設したバー[LIQUID FACTORY]が2019年9月にオープンした。まさに工場のような雰囲気の店内には最先端の機材が揃い、既成概念にとらわれない斬新なカクテルが生み出される。「新しい味覚に出会うと、それを液体にしてみようと思うんです」と話す店主の齋藤恵太さんは、2017年に自身のブランド「LIQUID WORKS」を立ち上げ、アパレルからバーコンサルティングまで幅広く活躍している。異色のキャリアからお店のこだわりまで、詳しく教えていいただいた。


―斎藤さんがこのお店をオープンされるまでの経緯からお伺いしたいです。

実は、明確な目標としてバーテンダーを目指したことはなかったんです。僕は生まれも育ちも横浜で、最初の仕事はアパレルと迷った末に車の整備士。アメ車が好きでした。とはいえ2〜3年間整備士を続けながらも、学生時代のアルバイトで経験した飲食店の仕事の楽しさも忘れがたいところがあった。そんな経緯と、横浜でアメリカのカルチャーに触れ続けてきた自身のルーツから、いつかアメリカンダイナーを始めたい気持ちで飲食業界に転向しました。

―幅広く興味があったんですね。今、結果的には独創的なバーで注目を集めていますが、飲食業界でどんな経験を積まれましたか?

整備士時代にダイニングバーで夜だけアルバイトを始めました。その店長が老舗ホテルの元バーテンダーで、もう一人のスタッフも銀座のしかるべきお店の出身の方。思いがけず、基本を徹底的に教えていただけました。そんな状況のなか、将来、自分でお店を持つことを見通せばサービスからキッチンにバーまで全て一人で出来るに越したことはないと気付き…車屋をきっぱり辞めて飲食に向き合い始めました。


―バー以外の勉強もされたんでしょうか?

後に店舗を変え、単価の高いレストランでサービスを学びます。それからいくつかの会社で働きマーケティングやPRも覚えましたね。店舗マネージャーと兼任でグループ店の全体の商品開発や広報を担当し、時には他店舗のプロデュースの仕事もありました。今まさにすべての経験が生きていて、育てていただいた先輩方には感謝するばかりです。

―ビジネスとして飲食の全てのパートを経験されてきたんですね。このお店はやはりブランディングも意識されていますか?

と言うよりは、ただ純粋に自分が楽しめて、やりやすい状況であること、それを大切にしているだけ。確かに海外の飲食店ではしっかりと代理店が入り、ブランディングによってカッコいいお店に仕上がるケースは多い。ですが自分にとっては、こうして気持ち良いくらいでやるのが丁度良い。変わっているとおっしゃっていただくこともありますが、大それたことはしていませんから。


―そうは言っても、内装からアパレルに器具と、ここまで独自の雰囲気を貫くお店はそうないですよ。

ありがとうございます。好きなものだけ求めたことで自然と出来たものかとは思います。例えばこのグラスはオープン前にパリのヴィンテージマーケットで買ってきたものですし、スプーンはeBayで探したアメリカンヴィンテージ。ヨーロッパではアンティークは高価ですが、アメリカでは単純に古いものと捉えられて安く出回ることも多いです。


――なるほど、斎藤さんの好きなものが詰まっているからトータルでスタイルのあるお店なんですね。

とはいえ、バーのツールはなかなかカッコいいものが無いもので……。実は最近、バイクスタンドを作る職人さんにバースプーンの製作をお願いしているんです。アメ車のファイヤーパターンというデザインのスプーンになる予定。作りたいと言い続けていると、作れる人を紹介してもらえるものというか。


―素敵な出会いですね。後ろに機材がずらりと並んでいますが、どんな用途でしょう?

白いのはサーモミックスというミキサー。温度と回転数と時間を調整できるもので、世界中のシェフがソースをつくるために使っていますがなかなか入手困難なものです。そして、こちらは簡易の遠心分離機です。薬品をつくるわけではないのでバー向けとしては十分な機能です。さらにメインに来る予定なのがロータリーエバポレーターという減圧蒸留器。フレーバーウォーターが作れるので、これが来ると幅が広がりますね。あとは一般的な装備かな。ちょっと何かカクテルを作りますので、飲んでみてください。


―ニンジンが入ってる! …飲んだことの無い味ですが、とても美味しいです。

コールドプレスのニンジンジュースを使っています。あとはラムに低温調理でキャラウェイシードのフレーバーをつけたもの、それとハチミツ、さらに自家製のサフランのエッセンス、それにレモンジュースです。レモンジュースのこだわりはフレーバーの強さ。柑橘は皮の表面に香りの成分が多く含まれるので、その部分のみを取り出して最新の真空機でフレーバーを抽出しているんです。

―こんな新しい味はどうやって生まれるんですか?

ご近所のビストロのニンジンのラペが、美味しいんですよ。いただきながらカクテルにしたいと思いました。最後にナツメグを振りかけているのもそのイメージ。新しいカクテルのイメージソースはいつも料理やデザートで「あ、これ美味しい。液体にしたい」と思うんです。


―なるほど、まさに「LIQUID WORKS」というご自身のブランドのネーミングの由来でしょうか?

はい、バーテンダー自体が常に新しい液体をつくる仕事ですから。そして、このお店はみんなで使える工場みたいな感覚で“LIQUID FACTORY”。このラボのスペースは機材もお酒も全部使い放題で、言わばバーテンダーのコワーキングスペースです。今、フリーのバーテンダーさんも徐々に増えてきて、意見を出し合いながら研究できるのも嬉しいですから。

―新しい液体が生まれる場に立ち会っているんですね。

お客さんにも、我々の仕込みの姿から見ていただきたい。バーテンダーがいかにして一杯のカクテルにたどり着くのか、その経緯を知っていただければ、ただお酒を混ぜているだけではない価値を見つけていただける。バーテンダーによってはレシピを口外しないことも多いけれど、うちはオープン。このスタイルだからこその、出会いや発見があって、それが楽しみってものですね。


LIQUID WORKS

2017年に、より美味しくスタイリッシュなバーを追求して斎藤氏が立ち上げた“bartending project”。カクテルのクリエイションから店舗全体のプロデュース、アパレルのデザインまで、バーに関わる全てを創作する。2019年9月にはバーテンダーのコワーキングスペースを併設したバー[LIQUID FACTORY]をオープン。

LIQUID FACTORY
東京都渋谷区宇田川42-12-101
火〜木 17:00-25:00 / 金土 17:00-26:00/ 日 17:00-24:00
月曜定休
(営業時間は今後変更となる可能性あり)
https://www.liquidworks-jpn.com/liquid-factory
Instagram: @liquid.factory

Produce: Kenta Suzuki
Interview & Edit: Yoshiki Tatezaki
Text: Takako Nagai [CATALDESIGN]
Photo: Eisuke Asaoka


クールなひと工夫で一杯が特別な体験に。今回、KODEではオリジナルデザインのロックグラスとアイストレー(製氷皿)をデザイン。KODEメンバー限定で、グラスとアイストレーがセットで当たるキャンペーンを現在実施中! お気に入りの一杯にさらなるツイストを。

応募期間:2019年9月24日(火) 11:00 ~ 2019年10月31日(木) 9:59
詳細はKODEメンバーに登録/ログインしてチェック。




本キャンペーンは終了しました。

SHARE