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ラッパーはとあるマスタードが大好き

“This that Grey Poupon, that Evian, that TED Talk, ayy”
— Kendrick Lamar
 
“I be burnin’ MCs like Betty grandson. Smokin’ grey poupon boy.” 
— Busta Rhymes
 
“Yeezy, Yeezy, Yeezy, this is pure luxury. I give ’em grey poupon on a DJ Mustard, ah!”
— Kanye West
 
“From futons to Grey Poupons, in church tryna’ get a little savings, yeah coupons.”
— Big Sean
 
ストリート・ライフ、ドラッグ、誰に聞いたってヒップホップの歌詞と言えば、このようなキーワードがあげられるだろう。
 
しかし、それらと同じほど…とは言えないが、ヒップホップの歌詞に頻出するキーワードがある。それが「Grey Poupon」だ。
 
Grey Pouponとは一体なに?という読者は多いだろう。Grey Pouponは、南フランス・ブルゴーニュ地方のディジョンという街の名産品のマスタードだ。Grey Pouponは1970年から1980年代にかけてアメリカの「イエローマスタード」が独占していたマスタード界にわって入って、一躍メジャーになった。(しかし、アメリカのGrey Pouponはフランス産ではなく、カナダのマスタードを使っているライセンス商品だそうだが。)
 
そのGrey Pouponは1996年のGhostface Killahの作品に2度登場し、20年の時を経て2016年のKanye Westのアルバム『The Life of Pablo』に再登場。また今年のUSヒップホップの最重要作品、Kendrick Lamarの”HUBMLE.”にも登場し、話題を集めている。
 
1981年、Grey PouponのテレビCMが放送されるとGrey Pouponは大人気商品に。庶民に手が届く高級食材として認知されるようになった。
 
1991年にはGrey Pouponはその人気を確固としたものにするべく、新たなチューブ型パッケージにリニューアルし、新しい広告をリリースした。
 
その同じ年にデビューアルバムをリリースしたイースト・コーストのラップ・デュオDas EFXは、翌年に発表した”East Coast Rocks”でそのマスタードGrey Pouponをラップした。

DAS EFX - East Coast Rocks (Music Video)

それからというものGrey Pouponがリリックに入った曲は毎年のようにリリースされ、その数は増えている。


アメリカのメディアのVOXの番組内で、ラッパーのMike EagleはGrey Pouponの「ライムの利便性」が頻出の一つの理由ではないかと推察している。Grey PouponはCouponやFuton、Crouton、Neutronなどの言葉と韻を踏むことができるからだ。さらにGrey Pouponが登場した118曲のうち、Couponとセットで登場したのは20回、FutonとCroutonは7回との統計が出ている。
 
またGrey Pouponはある種の上位のステータスを表す言葉として機能しているという。また時には卓越したラップのスキルをGrey Couponで表現することもあるという。
 
さらに2007年のLil Wanye、Jim Jones、Nelly、T.I、Kanye Westなどの人気曲に登場したGrey Pouponは、一気にラップ界で伝染病のように飛び火していったのではないか、とVOXは推測する。オランダではGrey Pouponは販売されていないのにも関わらず、オランダ語のラップにもGrey Pouponというワードが発見されたりもした。
 
Grey Pouponを販売する会社も「理由は分からない。無意識のものなのか、Grey Pouponがどこでもあるものだからなのかなぁ」と取材に対して答えている。
 
一つの言葉がラップに登場し、それが意味するもの、そしてそれが爆発的に広がるさまをざっと確認することができる。
 
Grey Pouponという言葉が入ったSpotifyのプレイリストも作成され8000人以上にフォローされている。このプレイリストに収録されている曲を聴けばラッパーの並々ならぬマスタードへのこだわりを確認できるだろう。



TEXT BY: FNMNL

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