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元RADWIMPSギタリスト斉木祐介の汁なし担々麺専門店「担担担」に潜入


「料理はコミュニケーション」という斉木祐介の使命

ランチ時間にバーを間借りしてカレーや定食を振る舞う二毛作スタイルが増える中、改めて気になるのが渋谷の担々麺専門店「担担担」だ。代表の斉木祐介はかつて人気ロックバンドRADWIMPSに在籍し、凄腕ギタリストとして精力的に活動していたという経歴の持ち主。オープンから一年、そのこだわりの味とホスピタリティ溢れる接客、食べ応えあるボリュームに着実にファンが増えている。そんな「担担担」渋谷道玄坂GB店に伺うと、満席の店舗をあとにするお客様に「またお願いします!」と小窓から元気に叫ぶ姿が。営業後、汁なし担々麺へのこだわりから今後の展望まで伺った。


―なぜ、汁なし担々麺をはじめたんですか。

古くは “担いで”売り歩かれたのが“担々麺”の名の由来。そもそも僕はバックパック一つで動きまわるようなミニマムでフットワークの軽いスタイルが好き。どこにでも行けそうなモバイル感が自分にフィットすると思いました。実際に音楽イベントのYabitoに呼んでいただきポップアップフードとして出店したこともありますよ。まぁ、一番の理由はたまたまハマりすぎてしまったからかな。

―相当、食べ歩かれていますね。凝り性かつコンプリート気質なんですか。

オタクっぽいのかな。“ラーメン”のジャンルで括るとポケモンの数が多すぎて網羅できないけど、“汁なし担々麺”ならほとんどゲットできる! みたいな感覚があったわけです。あとは試行錯誤する気質はある。ミュージシャンってカレーを極めたり料理に励む方が多いですが、トライに対して結果がすぐ見えるのは楽器と通ずるところ。長期間かけて腹筋を割ったりするのって難しいけれど(笑)、料理みたいに目の前で変化が感じられることには没頭できるんです。


―東京近郊はほとんどのお店を巡ってますね。

住んでいた渋谷から始まり、田園都市線沿いを攻めて、徐々に埼玉や神奈川…と足が延びました。大好きなお店は江古田の「麺や金時」さん。辛くて痺れるタイプとクリーミーでまろやかなタイプの二種類あって、いつも両方食べてしまう。ちょっと遠出になるので欲張っちゃうんですよね。


―レシピ開発の苦労は。

実は今のレシピは第二号。一号は創作風の汁なし担々麺でしたが、ストレートに美味しい一皿を目指して生まれたのが今のレシピ。僕自身が本当に食べたい味に仕上げてみました。

―手応えはいかがでしょう。

結果的にお客様に長く支持していただけてとても嬉しい。足繁く通ってくださる方々に感謝しています。とはいえ、今まだ、確かな成果は一つだけ。自分が一番食べたい汁なし担々麺ができたこと。一人、家で食べながら「最高だな〜」と思ったりするんです。ダサいですけどね(笑)。今、お作りしますよ。


―縮れたまご麺にスパイシーな肉味噌がよく絡んで、すごく美味しい。花椒の痺れも効いています。

ありがとうございます。ストレートの中華麺ももちろんアリですが、これくらいしっかりタレと具が絡む方が僕好み。花椒は家庭向けのものではなく、しっかりと痺れる鮮度の高いものを厳選して仕入れています。痺れと辛さのレベルは5段階で選べるので、お好みで召し上がっていただけますよ。


―華やかで食べ応えのある味付けですが、上品でもあります。

上品と言っていただきましたが、“日本人が美味しいと感じる味”を追求したかった。スパイスがゴロゴロと舌に残ったりするのは僕自身があまり得意じゃない。八角やシナモンとたっぷりのスパイスをテンパリングしてラー油を作っていますが、しっかり濾すことでさらりと仕上げています。ゴマダレには出汁をとったスープもブレンドして、慣れ親しんだ和の味覚も足していますね。

―ライスに合いますね。水菜、高菜、ナッツ、もやし、の基本のトッピングも嬉しいです。

自分が最後に必ずご飯を合わせたいタイプ。だから肉味噌の量は多くしてあるし、白米とマッチすることを前提にレシピを開発しています。肉味噌ってキーマカレーと調理法も似ていて、ご飯と合わないわけがない (笑)。追加のトッピングも、現状、卵・納豆・パクチー・レモン・刻み玉ねぎと豊富なので変化をつけて楽しんでもらえればいいかな。


―ファンが増え続けていますが、今後の店舗展開は?

渋谷の二箇所で間借り営業をしていますが、今後は横浜の野毛にも間借り店舗で出店予定。もっと多くの方に自分の大好きな味を届けたい想いがあるので、フランチャイズで店舗数を増やすのはアリですし、お店によって限定のトッピングがあったりしても面白そう。さらに軸となる実店舗を一つ構えるような展開があってもいいかな。間借り店舗で毎日、大量に仕込むのはオペレーションとしては大変。今まではフレッキシブルさが楽しかったけれど、規模が大きくなるなら拠点があるに越したことはないですね。

―飲食経験者と今後コネクトしていかれるんでしょうか?

いいえ、こだわりません。むしろ既成概念にとらわれない方々とも会っていきたい。この世界では職人であることが良しとされ、アイディアをすぐにアウトプットするような在り方はタブー視されがち。でも、そんなことはないはずです。僕もみなさんも、美味しいか美味しくないかは分かるわけじゃないですか。何年もの厳しい鍛錬が必要な料理はもちろんありますが、一概に、すべてに当てはまることじゃない。もしも技術的にどうしても難しい時にはプロと組んで、コミュニケーションをとりながら、味のチューニングをするのもアリですしね。


―真面目に、かつ楽しみながら、お店や料理を育てていくんですね。

僕にとって料理はコミュニケーションです。お客様と接することで自分も料理にも変化し続けられるし、毎日のお昼に、新しい人に出会えることも本当に嬉しい。僕にできることは何も至高の高級料理を作ることではなく、ただ“ランチ”を午後の活力に繋がる時間にしていただくこと。日々、千円かけずに、満足いく食事をして、午後も頑張ろうと思っていただける…単純だけどそんなことが自分の使命です。

―身近な一皿としてますます愛されそうな担担担ですが、これからの広がりに期待してもいいですか。

はい。担担担を自分の大切な場所として守りながら、仲間が増えたらもう一段階大きなフェーズでの活動も考えられますよね。例えば、朝に間借り店舗でお弁当を作ることもできるしょうし、もっと僕自身に時間があれば店舗のグッズを生産したりもできる。今、着ているジパングアートがデザインしたTシャツのように何かアパレルがあっても面白いかもしれません。……とアイディアは尽きません。価値観が合う人には是非、ジョインして欲しいですね。



汁なし担々麺専門店 担担担(たんたんたん)

2018年10月15日にオープン。渋谷道玄坂GB店と渋谷東急プラザ裏店の二店舗にて、ランチ時間帯に間借り営業中。渋谷では初となる汁なし担々麺専門店。ヤミツキになる味とホスピタリティに溢れた接客が魅力。代表の斉木祐介さんはかつて人気ロックバンドRADWIMPSに在籍、凄腕ギタリストとして精力的に活動していたという経歴の持ち主。
Instagram: @ __tan_tan_tan__
https://tantantan.love

Text: Takako Nagai [CATALDESIGN]
Photo: Eisuke Asaoka

Location:
担担担渋谷道玄坂ゴールデンボール店
東京都渋谷区道玄坂2-22-6

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