search search

「The SG Club」が起こす“バー革命”。後閑信吾は侍か、黒船か。


足を運ぶ人が思い思いに楽しめる、細部までこだわり抜かれた新感覚のバー

後閑信吾さんは、若くしてトップバーテンダーの名をほしいままにする。日本国内で腕を磨き、2006年に渡米。NYでさらなる研鑽を積み、12年には「バカルディ レガシー カクテル コンペティション」世界大会で優勝を果たした。 ゆえに、”世界一”のバーテンダーと賞賛される。その後は上海でバーを3店開業し、いずれも世界的な人気を博している。そして満を持して凱旋帰国した昨年6月、東京・渋谷に「The SG Club」を誕生させた。


そんな彼が開く店なのだから、相当に敷居が高いはず。そう思って新店の前に立った客は、まず驚くことになる。軒先きのバーカウンターでは、一部のお酒がテイクアウトで売られているではないか。


このカジュアルさは、ある意味で緊張感を味わうような“日本的”バーとは一線を画す。そこを十分にリスペクトしたうえで、後閑さんは新たな試みを行う。理由は、「もっと多くの人に、気軽にバーに足を運んで欲しい」から。世界的視野で日本のバーを見つめる後閑さんの、ストレートな願いが込められているのだ。同時に、「日本は路上で気軽に酒が飲める限られた国。現状を活かさない手はないなと思いました」と、グローバルな視点も垣間見える。


3つのセクションに分けられた店内に目を向けても、多くの人、そして様々な人を惹きつける独特な構造を取る。「ごくごく飲む」を意味する「Guzzle(ガズル)」と名付けられた1階は、あくまでライトに飲めるスペースだ。一方、地下は「ゆっくり飲む」という意味の「Sip(シップ)」は、より高級感と落ち着きを感じる。さらに、今年1月には会員制スペースを3階にオープンした。「味わう」を意味する「Savor(セイバー)」と呼ばれるシガーバーで、よりエグゼクティブな時間を提供。そんな3つのセクションすべてに共通するのが、「日本人で初めてカクテルを口にしたのは、幕末にアメリカへ渡った侍だったのかもしれない」という前代未聞のコンセプトだ。



「バーって本来、もっと面白くてカッコいいもの」とも語る後閑さん。だからこそ拘り抜いたコンセプトのもと、様々な仕掛けを施す。例えば、一見ギャングの隠れ家のようなシックなイメージで統一された地下を見ると、カウンターには行灯を模した照明が掲げられ、壁には畳をイメージした文様が押されている。トイレで流れるBGMは、日本の落語。しかも酒にまつわる噺をセレクトする手の込みようだ。




また、「幕末にアメリカへ渡った侍は、カリブを経由した」という認識のもと、彼の地の意匠も盛り込まれる。2階のシガーバーはその最たる例で、キューバ産を中心に厳選された葉巻を、葉巻製造国の音楽にこだわったレコードが回るなかで味わえる。壁に掛けられた浮世絵は、葛飾北斎の「富嶽三十六景」。計7枚のそれはすべてに意味があり、水場であるカウンター後ろには海が描かれた「神奈川沖浪裏」が、窓際にはシガーの煙を彷彿とさせる「遠江山中」がセレクトされた。とにかく、その仕掛けは枚挙に暇がない。


実にエンターテインメント的な発想が光る店内だが、「店作りとカクテル作りには、近いものがあるんです」という言葉通り、肝心の酒も面白い。ボンベイサファイアジンベースのカクテルを“ワンカップ”に見立てた「ナンバーワンカップ」や、ラムコーラをコーラを使わずに再現した「ラムアンドコーラ ウィザウトコーラ」など。どれもがスリリングなアイデアにあふれている。


なお、勘の良い方は既にお気づきかもしれないが、店名の「SG」とは後閑さんのイニシャルからとったもの……、だけではないという。むしろそれ以上に、自由なバーの楽しみ方を提案する2つのバー「Sip & Guzzle」、もう一つのコンセプトに通じる「侍&ギャング」のストーリーがあり、他にも様々なメッセージが込められているそうだ。

とにもかくにも、訪れる人にとって毎回異なった発見がある場所。それが後閑さんのいう「面白いバー」のひとつの回答だ。まるで幕末の侍のような挑戦的な心を持ち、アメリカ帰りの“黒船”的な期待も背負う後閑さん。比類なきアイデアと技術で日本のバーの現状を打破しようと“楽しんでいる”男の目は、だからこそ前を向いている。



The SG Club
住所:東京都渋谷区神南1-7-8
TEL : 03-6427-0204

営業時間:12:00-翌2:00(日~木曜)、~翌3:00(金・土曜)
定休日:不定休

Guzzle:12:00-翌2:00(日~木曜)、~翌3:00(金・土曜)
Sip:18:00-翌2:00(日~木曜)、~翌3:00(金・土曜)
Savor:18:00-翌4:00(会員制。2:00〜4:00は非会員でも利用可)

https://www.facebook.com/thesgclub/
Instagram: @the_sg_club

SHARE

}