【電子ドラムが当たる】 ドラムを使った新しい音楽のスタイルを探求するav4lnに尋ねる、ドラムの可能性

異質なスタイルがうまれた裏にあるもの


オーディオサンプルとドラムを同時に操る稀有なスタイルで、ヒップホップやテクノを制作するav4ln。パーカッションやシンセサイザーを用いたアンビエントも制作するなど、ジャンルを越境しながら特異な存在感を発揮している。自身の制作スタイルや、その構成要素として欠かすことのできないドラムとの距離感についてインタビュー。さらにリスナーとして音を楽しむのに留まらず、自身がプレイするきっかけにもなりそうな、電子ドラムの楽しみ方も教えてもらった。


―オーディオサンプルとドラムを同時に操るという特異なスタイルで音楽を制作しようと思ったきっかけはなんですか。

インスタやYouTubeでギター演奏動画を投稿していたichikaくんが、僕が人生で一番好きなバンドのアニマルズ・アズ・リーダーズにインスパイアされたような音楽を1人でやって、世界で有名になっていく姿に刺激を受けたんです。彼のようにインターネットを使って、1人でつくった曲をポンポン公開していく活動スタイルは今っぽいしアリだなと。そういった刺激がきっかけでav4lnとしての活動を始めました。




―でも、このスタイルを会得するのは大変だったのでは。

練習はけっこうしましたね。元ネタはディーントニ・パークスというドラマーで、僕みたいなスタイルを誰よりも早くやった人なんですけど、彼がやっているように、同じような音を3分間も聴き続けて気持ちよくなれる人はそんなに多くないと思ったので、僕は短い時間でも魅力がわかるようなものにしようとディーントニのアイデアを借りつつ、NujabesとかJ・ディラ的な音を意識するようになりました。


―ビートづくりはどこから始めるんですか。

サンプルを探すところからですね。SpliceとかレコードとかYouTubeをディグって、好きなサウンド感のものがあったらサンプリングして、チョップして、弾いてみて、メロディを自分のなかで思い浮かべて、そこにドラムを合わせるという感じです。なので、こういうビートにしたいという明確なイメージを思い浮かべるのではなく、サンプルが自分にくれるアイデアを大事にして、サンプルが映えるようなビートをつくります。

―ということは、ドラマーとしての意識は?

ないですね(笑)。僕はドラマーですけど、あまりドラムに捕らわれたくないんです。ドラムがどうというよりも、雰囲気がよかったり、なんとなく楽しそうに感じられるものにしたいし、ドラムはあくまでも音楽全体の一部であってほしいと思っていて。だから、ドラムで評価されるよりも、音楽に携わっている人間としての評価のほうが大事だと思っています。もちろん、ドラマーとして人から声をかけていただけるのもうれしいんですけど、それ以外の部分でも力になれるならなりたい。なので、ソロ名義でやってるときの感覚は、ドラマーというよりもDJのほうが近いです。


―今後の目標はあるんですか。

クラブとかラウンジみたいな夜の音楽の場とか、ちょっとディープな時間帯にゆるりと踊ってもらうような場所にたくさん出たいですね。それもあってこのスタイルでやってる部分もあります。一番大事にしているのは、ゆるく踊ってもらうことなんです。僕のことなんて見ないで、ただ空間で揺れていてほしい。

―自分のことを見ないでいいっていうのは面白いですね。

僕は雰囲気づくりが一番好きだし、極端な話、誰も僕の音楽をちゃんと聴いてなくてもいいんですよ。それよりも僕の音楽がみんなの近くに“なんとなくある”というのが大事で。普段ビートをつくっているときも、料理してるときとか、寝る前にお香を炊きながらとか、そのビートを聴いてるときの具体的なシチュエーションをイメージしていることが多いんです。


―自分が主役になるのではなく、みんなが楽しんでいる空間の一部になれたらいいと。

そうですね。僕はあんまり目立ちたくないんですよ(笑)。だけど、たくさんの人に自分が考えていることを伝えるためには、みんなに「ちょっといいな」と思ってもらうことももちろん大事で。

―ミュージシャンとしては控えめな野望ですね。

「俺が俺が」というスタンスではないです。たくさんの人に見られるのは得意ではないので、日常にある音楽でありたい。僕がつくる音楽はどうしてもパーソナルが滲み出るものになるので、僕自身と同じように僕がつくる音楽にも接してほしいというか。「あいつ(音楽)も飲み会に誘ってやるか」みたいな(笑)。崇拝されたくもないし、心地よい距離感の友達みたいな感覚でいてくれたらいいですね。


―自分の分身ですね。

そうですね。僕がつくる音楽には僕と同じような温度感があると思います。

―じゃあ、グラストンベリーに出たいとかでもなく。

出られるなら出たいけど、そこは大事なことではないかもしれないですね。有名になることも大事ではあるけど、一番ではない。もちろん、リキッドルームでライブをやりたいとは思いますけど。

―av4lnさんの夢ってなんですか。

僕、夢が本当に小さくて……僕の音楽を日常的に消費したいと思ってくれているリスナーに出会うことですね。しかも、ライブに来てくれる人じゃなくて、たまたま仲良くなったり、飲み会で隣に座った人が、「最近、寝る前にこの人の曲を聴いてるんだよね」って感じで僕の名前が出てくるのが一番うれしい。

―その状況がもっと広がったら最高ですね。

本当にそうですね。そのためにいろんなステップを踏まなければいけないと思ってます。



―さて、av4lnさんのスタイルを語る上で欠かせないものといえばドラムだと思うのですが、KODEでも現在、電子ドラムが当たるプレゼントキャンペーンを実施中です。携帯性にも優れたアイテムですが、今回実際に叩いてみていかがでしたか。

個々の楽器の位置はだいぶ違いますけど、意外と演奏しやすいですね。基礎練習用のパッドとして使うにはすごく楽しいと思います。僕、大学時代に朝9時から夜9時まで基礎練をやってたことがあって。

―それは壮絶ですね(笑)。



あ、これは録音もできるんですね。サンプラーとしても使えそう。叩けば音が鳴るという意味では、入門としてドラム に触ってみたい人にはいいかもしれない。本物のドラムは音がデカいしスペースも必要だけど、これはヘッドフォン端子も付いてるし、住宅環境的に問題がある人にも向いてますね。

―機能性もバッチリということですね。

基本的な8ビートを叩きたいっていうぐらいならこれでも十分練習できると思います。これでドラムの楽しさがわかってきたら、次は実際に練習スタジオに行ってスタジオに置いてあるドラムを叩いてみて、本物の音の大きさを感じてみるのがいいかもしれないですね。


av4ln
LIVE-BEATプロデューサー、ドラマー。 1993年東京都出身。オーディオサンプルとドラムを同時に操り、ヒップホップやテクノをはじめとしたビートミュージックを生み出す。 エレクトロニクスとドラム、パーカッションを用いたアンビエントループも制作。 人力ミニマルミュージックバンド「東京塩麹」メンバー。東京塩麹として、FUJI ROCK FESTIVAL 2018出演のほか、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)の「そうだ 京都、行こう。」CMシリーズ「2019 春はあけぼの・日の出篇」「春はあけぼの・さくら編」のBGM編曲・演奏を担当。

Instagram: @av4ln_kentwatari
https://kentwatari.com

Text:Daishi “DA” Atoh
Photo:Eisuke Asaoka
Produce:Kenta Suzuki

Spliceやレコード、YouTubeを掘りまくるなど、好奇心のままに多種多様な音に触れ自らの表現の糧とするav4lnさん。今、KODEでも好奇心を刺激するモノが当たる「冬のオモシロ好奇心アイテム」キャンペーンを実施中。KODEメンバー限定で電子ドラムをプレゼントする。さぁ、今すぐチェック!

応募期間:2020年11月26日(木)10:00 ~ 2021年3月8日(月)9:59
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