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ハルカが語る、読書と想像力
ハルカのおすすめ小説・エッセイ5選。
『清らかな厭世 ー言葉を失くした日本人へ』阿久悠
『臨床の詩学』春日武彦
『不幸になりたがる人たち ー自虐指向と破滅願望』 春日武彦
『カキフライが無いなら来なかった』せきしろ×又吉直樹
『命売ります』三島由紀夫
「せきしろさんと又吉(直樹)さんの『カキフライが無いなら来なかった』は、又吉さんは芸人さんだから、一言ネタに近いんですけど、それと短歌の合いの子みたいなもので、すごくおもしろいです。最近ずっと読んでいるのは、春日武彦さんの『臨床の詩学』。春日さんは文学が好きな精神科医で、患者さんが話す言葉が、詩的だったり浮世離れしたりしていてロマンを感じるって方なんです」と、楽しそうに話す。
「私、あんまり趣味とかないんですよ。映画も好きだけど趣味と呼べるほどでは……。本は場所を選ばないし、いつでもその世界に入っていつでも出られる。映画になると1時間とか2時間、拘束されるから」
映像作品も一時停止ボタンを押せば止められるし、今はスマホがあればどこでも観られるが、「入るにはちょっとだけ気合いがいるんですよね」というハルカの意見もわかる。しかし、ハルカからすれば映像よりも手軽だと感じている読書だが、一般的には『活字アレルギー』などと言われるように、読むことのほうが敷居が高いと思っている人も多い。
「わかりますよ。私も読書感想文とか国語の授業は嫌いだったし。そういう教育のせいもあると思いますし、映画やドラマ、漫画、日常で見る景色も含めて、ダイレクトに視覚から入ってくる情報って圧倒的に強いですから。でも、小説やエッセイも自分なりの絵や景色が見える。そこが楽しい。初めから見せられちゃうと、想像力が半減しちゃう気がするんですよね」
たしかに、例えばそれは何色だったか、見たものと読んだものではまるで違ってくるだろう。「だから活字体験は必要だと思うんです」とハルカは言う。『ハルカ節』としか表しようがないほどに、個の強さを持った彼女の言葉とメロディーは、『読む』からこそ生み出されたものなのだろう。
TEXT: TAISHI IWAMI
PHOTO: Takuya Furusue