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ケンゴマツモトの酒と嗜むプレイリスト<洋楽編>

THE NOVEMBERSの酔いどれギタリスト、ケンゴマツモトが選ぶ「酒にぴったりな音楽」の洋楽編。チャールズ・ブコウスキやトーマス・ベルンハルト、ロベルト・ボラーニョといった一癖も二癖もある作家を愛し、「ミュージシャンの中では最もハードコアな読書家」を自称するだけあって、曲解説も文学的。ほろ酔いで読めば、きっとあなたを“ここではない、どこか”へと誘ってくれるはずだ。


“Lord Knows Best” by Dirty Beaches
むせかえる色気、男の中の男、タンクトップを着せたらナンバーワン、リーゼントを崩れさせたらナンバーワン。Alex Zhang Hungtai のプロジェクト。紹興酒を飲みながら、いつかの旅路を、いつかの夜を、いつかのあの娘を思い出しながら。




“Scar” by Joe Henry
いつか、行きつけのバーで教えてもらった俺の人生で重要な曲の一つ。酒で腐りきった脳みそを包み込む低く優しい声。酒で鈍りきった頭に響くオーネットコールマンの晩年のプレイ。”But not a scar”(でも、それは傷跡じゃない)きっとそうだよな。そうだといいよな。そう思いながらバーボンをソーダで割る。



“Sad Vacation” by Johnny Thunders
この世で一番美しくて一番悲しい花。それはジョニーサンダースなんじゃないか。アイムソーリーの繰り返しを聞きながら破ってしまった約束を思い出しジンライムを煽る。




“Candy says” by Velvet Under ground
世界で一番綺麗な曲かもしれないと思う夜がある。肩の上を通り過ぎって行った青い鳥の事を思い、カサーシャを飲みすぎる。余談だがルーリードに似てるババアって結構いるよね。




“El Gaucho Rojo” by Marc Ribot
恐らく現存するギタリストの最高峰「偽キューバ人」ことマークリボー。偽物のキューバを思い浮かべながらモヒートを飲みすぎ、世界の果てみたいな酒場であの子とサルサを踊る。




“Heart on My Sleeve” by Kip Hanrahan
ニューヨークの「知的で嫌味な偽ラテン」ことキップハンラハンの1stから。テオマルセロ(!)の仕事が良すぎてゴッドファーザーを飲みすぎてデニーロみたいな目つきになる。



“Ghosts” by Albert Ayler
ジャズとはつまり戦いの音楽なんだ。色即是空。本来チャラチャラしたラーメン屋で流れてる様なもんじゃねえんだよ。とこの最高傑作を聞きながら拳を握り、うおおと言いながらウォッカレモンダブルをガブ飲みしてしまう。




“Cross Road Blues” by Robert Johnson
君は悪魔に魂を売ったことがあるか?俺はあるよ。西荻窪の十字路で肩を叩かれライターを貸してやったら話を持ちかけられた。んで魂を売ってやった結果レモンサワーの悪魔になったって訳。




“Ol' 55” by TOM WAITS
問答無用に酒に合う。俺の隣で飲んでるのは幸運の女神。問答無用でそう思う。




“交響曲第5番嬰ハ短調” by Gustav Mahler
マーラーの絶頂期の作品。今、キーをパンチしながら思ったがマーラーの絶頂という響きがたまらない。余談だが自身のギャグに「お前のマーラーをドビュッシーさせてやろうか」というものがある。さて、俺たちのブコウスキーはこう書いてる。「ラジオからはマーラーが流れている。かれは大胆な賭けに出ながらも、いともやすやすと音を滑らせる。マーラーなしではいられない時がある。彼は延々とパワーを盛り上げていってうっとりさせてくれる。ありがとう、マーラー、私はあなたに借りがある。」ありがとう。俺にはマーラーにもブコウスキーにも借りがある。そしてその借りは大きすぎて、とても返せそうにないよ。そう思いながらポートワインをガブ飲みして血糖値が上がる。




TEXT: Takanori Kuroda
PHOTO:Shun Aihara

ケンゴマツモト (THE NOVEMBERS)

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