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HOT 97 SJT 2017 フォト&レポート

「来年は5倍の規模で戻ってくる」というHOT 97パーソナリティー陣の約束から約1年3ヶ月、今年も東京に『SUMMER JAM』がやってきた。ニューヨークの老舗ヒップホップ専門ラジオ局HOT 97が手がける同イベントは、毎年ニュージャージー州のメットライフ・スタジアムにて開催されており、今年もChris BrownやFat Joe & Remy Maをはじめとするラインナップで盛況のうちに終了。昨年7月には日本に初上陸し、French MontanaやPusha T、Fabolous、Omarionといった海外アーティストが来日。AKLOやAK-69らと共にZepp Tokyoを沸かし、来場したファンにとって忘れられない一日となった。

そのイベント名とは裏腹に、11月に開催されることが発表された9月、DJ LEAD氏は「サマーちゃうやんけと、突っ込まないでw」と茶目っ気たっぷりにツイート

しかし、蓋を開けてみれば、その内容は確かに「サマー」と呼ぶに相応しい、熱いものとなった。

今回の会場となった新木場Studio Coastに到着すると、フォトブースが併設されたバーカウンターが待ち構えている。その奥にあるエリアISLANDは、この日は喫煙所となっているが、ここにもまたDJブースがあり、大音量の音楽が聞こえてくる。ドリンクを買う列に並んでいる間も音楽に身体を揺らすことができ、屋外のフードワゴンも相まって、お祭り感は十分だ。気合の入ったストリート・ファッションに身を包んだ20代中心の観客たちが、夕方の4時頃から早くもクエルボのブースでショットを乾杯している。

EBRO photo by @seiyaleluia

さらに、暗がりの奥にあるアリーナに足を運ぶと、HOT 97のDJ Kast OneがパーソナリティーのEbroやPeter Rosenberg、Laura Stylezと共に会場をロックしている。新旧織り交ぜた選曲はメジャーなものばかり。ただ、Dr. Dreの“Nuthin’ But a G Thang”をかけたかと思えば、「待て待て、俺はSnoopもDreも好きだけど、俺らがレペゼンしてるのはニューヨークだ」と言ってBiggieやJAY-Zの曲に遷移するなど、ニューヨークのラジオ局としての矜持を隠そうとはしない。また、ビルボード1位を記録したCardi Bの“Bodak Yellow”が流れると、Ebroが曲を止めて「この曲の歌詞分かるか?」とクラウドを試し、クラウドが見事な“Bloody Shoes”大合唱で応える場面もあった。各アクトの間は10分程度のDJタイムだが、これがトイレ休憩の時間となっていないのが、なんともヒップホップのフェスらしいところだ。

photo by @seiyaleluia

この日ラインナップされた海外アーティストは、ユニークな美声を武器に多くのヒット曲を持つJeremihと、客演も含めてジャンルレスな活躍を見せるKid Ink、“Ooouuu”の大ヒットが記憶に新しいブルックリンの新鋭Young M.A、そしてA$AP Mobの注目株であるA$AP Twelvyyの4人だ。これに加え、日本からは、沖縄をレペゼンしアルバム『8』をリリースしたばかりのAwichと、“Cho Wavy De Gomenne”をはじめとするキャッチーな楽曲群で人気を誇るJP THE WAVY、さらにはアジア各国を所狭しとばかりに飛び回るクルーkiLLaがステージに立った。

七者七様に素晴らしいパフォーマンスを見せつけてくれたこの日だったが、中でもステージの作り込み具合が群を抜いていたのはJeremihだったといえるだろう。Kid Inkのステージが終わると、ステージ上にドラムやキーボードがセットされ始め、いやがうえにもオーディエンスの期待が高まる。セットが完了すると、JeremihのオフィシャルDJであるDJ Cuzzoが“All I Do Is Win”や“Mask Off”や“No Problem”といった曲で場を温めていく。今か今かと待ちわびられたJeremihは、2010年のヒット・シングル“Down On Me”で姿を現した。


1曲目を披露し終えたJeremihは、「俺は一人で来たんじゃない」と言ってDJ Cuzzoを紹介。二人の信頼関係は相当のもののようだ。続く“Planez”では、J. Coleのヴァースにあるフレーズ“put it in your mouth”を合唱させようとするナスティさも見せた。


二人は「古い曲と新しい曲、どっちが聴きたいんだ?」と問いかけるが、当然ながらどちらも聴きたいというのが観客の総意である。その期待に応えるかのように、2009年のデビュー・アルバム『Jeremih』から“Break Up To Make Up”をパフォームしたかと思えば、Natalie La Roseの“Somebody”を歌ったり、自らキーボードを弾きながらDJ Khaledの“Do You Mind”を披露したりする。


そんなJeremihのステージは、デビュー・シングル“Birthday Sex”で前半のハイライトを迎える。「この曲で俺の人生は変わったんだ」と話すJeremihは、この日が誕生日だという女性を2人ステージに上げ、バラの花と濃厚なパフォーマンスを誕生日プレゼントとして捧げた。

photo by @seiyaleluia

すっかり黄色い歓声を自分のものにしたJeremihは、“Fxxx You All The Time”でもしっとり聴かせつつコール&レスポンス。ここでも彼のナスティさは健在だ。続いて“Bump n’ Grind”、“Bodak Yellow”、“Rake It Up”をスピンするDJ Cuzzoも、この日集まった女性ファンを彼なりにビッグアップしているかのようだ。


矢継ぎ早にヒット曲を歌い続けてきたJeremihのステージは、「君(you/u)と僕(I/i)がいなければ僕ら(we/oui)じゃないんだ」というメッセージが込められた“oui”でクライマックスを迎える。彼は見事なアレンジやハモりを加えながら同曲を長めに披露。その歌声に酔いしれ、ある者は一緒に歌い、またある者はただひたすらに聴き入る。その美声は、場を共有する女性だけでなく男性をも虜にした。

さて、その後のJeremihは『幸せなら手をたたこう』のメロディで“If you[‘re] sexy and you know it, clap your hands”と歌い出し、“Don’t Tell ‘Em”につなげる。最後はリリースされたばかりのTy Dolla $ignの“Dawsin’s Breek”を終えてステージを去り、DJ Cuzzoがアフターパーティーへと弾みをつけるかのように“Bad & Boujee”と“goosebumps”をかけ、パフォーマンスを終えた。


昨年同様、ニューヨークの空気をそのまま感じさせるような7時間半は、あっという間に過ぎ去っていった。クラウドの圧倒的な一体感が感じられた昨年に比べ、ラインナップが多様化した今年は、思い思いに楽しんでいる人々の姿が印象的であった。それだけ、ヒップホップには幅広い層に訴求する力があることを感じられる一日でもあった。この勢いがこの先も続いていくことを願ってやまない。

TEXT: Sho Okuda

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