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卯城竜太を音楽に引き戻した「パンク性」あるバンド

10代でパンク音楽に出会い、現代アートの世界で活躍を始めてからも、たびたびその世界を振り返ってきたというChim↑Pomの卯城竜太。そんな彼が選ぶ、パンクにまつわるアイテムの最後のひとつは、ハードコアな音楽性と、過激なパフォーマンスで知られるバンド「NATURE DANGER GANG」のメンバーからもらったトートバッグだ。

もともと、10代の後半から20代にかけて、Chim↑Pomのサブリーダーとなる林靖高らと音楽活動をしていたという卯城。しかし、現代アートの世界に足を踏み入れてからは、「それなりの音楽への挫折感もあって(笑)、10年間くらい、ほとんど真面目に音楽を聴いてこなかった」という。その彼が、ふたたび音楽を聴き始めるひとつのきっかけとなったのが、NATURE DANGER GANGとの出会いだった。

「彼らのライブを、歌舞伎町や高円寺のウチらのイベントをディレクションしてくれている古藤寛也さんに勧められて見て、YouTubeなんかで活動を掘ってみたら、とにかくぶっ飛んだ。そこからめっちゃハマって、ヤバかった」と振り返る。

実際、NATURE DANGER GANGのライブでは、爆音のビートのなか、男性も女性を含んだ10人ほどのメンバーが裸体を晒し、にわかには表現しがたい奇怪なコスプレや、客席も巻き込んだアクションを通して、会場をカオティックな狂乱へと導く。Chim↑Pomはそんな彼らのライブパフォーマンスを、自身の展覧会を形づくる一要素として、頻繁に召喚してきた。

「たとえば歌舞伎町の個展のオープニングイベントで、彼らは相変わらず脱いで、飲んで、全力を振り絞って騒いでいて超面白かったんだけど、狭いフロアだったから、森美術館の南條史生館長や、東京都現代美術館の長谷川祐子チーフキュレーターなど、日本のアートの重鎮たちの横で、フルチンで踊る人たちが正義みたいな熱狂が生まれていて、なんじゃこりゃって感じだった(笑)」


卯城が取り出したトートバッグは、そのNATURE DANGER GANGのメンバーである女性レゲエダンサー・CHACCAがくれたもの。「彼女がすごいChim↑Pomが好きで、俺が『美術手帖』で彼らを紹介したのを喜んでくれて、自分で作ったTシャツとか鞄をくれるんだよね。これも最近もらったものなんだけど、俺はトートバッグ命だから(笑)。サイズもちょうどよくて、ずっとこのバッグを使っている。愛用品だね」と笑う。

バッグの表面には、レゲエ用語で「上機嫌」や「すばらしい」などを意味する文字が。まさしく、あらゆる常識や悩みを吹き飛ばすNATURE DANGER GANGのあり方にふさわしい言葉だが、そんな彼らも今年の頭に活動を休止。「でも、主要なメンバーで新しく始めた『テクノウルフ』というユニットも超かっこいい。KLFもハナタラシの『Omocha No Cha Cha Cha』も、現場やCDでは体験してないんだけど、テクノウルフも相変わらずネットで聴きまくってます(笑)」と卯城は興奮気味に語ってくれた。


TEXT: 杉原環樹
PHOTO: 菊池良助

卯城竜太(Chim↑Pom)

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