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N&R Foldingsのシンプルなデザインの裏にあるものづくりのストーリー

多角形彫刻「Poligon」の秘密に迫る

鏡面仕上げのメタル素材の板が組み合わさり、ペンギンやゴリラ、クジラといった存在感のある動物からアリやトンボなどの昆虫類まで、洗練されたデザインのアニマルオブジェは、数年前クラウドファンディングサイトで目標の3倍以上のサポートを得る大成功を収めた。横浜を拠点とする川本尚毅さんとメキシコのロドリゴ・ソロッサーノさんは、海をまたいでN&R Foldingsというデザインオフィスを運営。この2人に、イギリスでプロダクトデザインを行なっているマット・ホワイトさんを加えたのが、このアニマルオブジェ「Poligon」を生み出したインターナショナルなコラボレーションチームだ。


平らな板が、緻密に計算された設計により立体構造物にいとも簡単に立ち上がる、N&R Foldingsの代表作「ORISHIKI」やPoligonは一見シンプルなようでいて、とても奥深いものづくりのこだわりが詰まっている。Poligonなどが生まれる背景を聞くため横浜オフィスの川本さんの元を訪れた。パートナーのロドリゴさんとマットさんも「いつも通り」にビデオコールで参加してくれ、三ヶ国を結んだインタビューが実現した。


—まず、川本さんがどのようにお二人と出会ったのかというところからお聞きしたいです。

川本:ロドリゴと僕はイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートの同級生だったんです。マットは僕らより前に卒業していた先輩ですね。卒業後、僕もロドリゴもイースト・ロンドンの方でフリーランスを始めて。その頃まだそんなにロンドンの地価も上がってなかったし、イースト・ロンドンが面白かった時期なんですけど。

—ショーディッチとかのエリアが注目されだした頃ですかね。

川本:そうです。彼らがショーディッチでスタジオを構えていて。僕のスタジオも近くにあったので、やり取りしていて。僕もロドリゴも結構カクカクしたものをつくっていて、似た言語を使っていたので、試しに一緒に色々やってみたらめちゃくちゃ息が合ってという感じでスタートしました。そうこうしている間に、2012年頃、僕は日本に帰らなきゃいけなくなってしまって、でもせっかくだからちょっと面白いことをやろうということで、ロンドンと日本に同じ名前の会社を立ち上げたんです。マットは、量産品の設計とかデザインを色々手がけていて、IKEAのプロダクトなんかもデザインしている人です。


—ロンドンで出会って、面白いことやっているうちに、それぞれ違う場所になったけれど、こうして今も続いているということですね。

川本:そうですね。アイデアを共有したりお客さんを共有したりとかしてやっていこうっていうのがそもそもの始まりで。ちょうどそのタイミングで家庭用の3Dプリンターが結構安価になったりとか、ネットも高速になったりとかして、データが送りあえるようになっていた。そうすると同じものをすぐに共有できる。データ上で同じものを見るだけではなくて、同じ物体をこうやって持てる。


—すごいことですよね。このペンギンはPoligonというオブジェシリーズですが、どのように生まれたのですか?

ロドリゴ:元々は紙や段ボールで、展開したり折りたたんだりするオリガミ的なおもちゃをつくっていて、その延長で昆虫のオブジェをつくっていました。ステンレススチールを使って何かつくれないかという依頼はあって、それは僕にとっての課題だったんです。

マット:その頃、僕は別のプロジェクトでチーズを削るグレーターをデザインしていたんです。ステンレススチールを変形するということに取り組んでいて、彫刻とかオブジェに応用できないかと考えていたんです。そこでロドリゴの作品があってその技術を教えてもらったんです。

川本:そうだね。それぞれのやっていたことが繋がったんです。

ロドリゴ:それで、PoligonはKickstarter(クラウドファンディング)をやって。

マット:デザインはもちろんですが、生産管理から配送まですべて自分たちで行ないました。配送はナイトメアだった……。でも、すごくいいものを届けられたのは素晴らしい経験となりました。


川本:モノや技術は工業的なんですけど、お客さんに届いて、そして飾るものだから、工業用パーツをつくるのとは違うんです。仕上がりがきれいでなければならない。初期はイギリスの工場で生産したのですが、品質管理にとてもたくさんの労力がかかりました。今回からは、横浜にあるコーケン化学という工場にお願いできて、試作一発目から鏡面の仕上がりやエッジのきれいさも今までないくらい最高に良くて、二人もとてもビックリしていました。

—板のパーツをユーザー自身が曲げて、磁石でくっつけながら一体が完成するという、こうした洗練されたデザインのものを実際につくるという体験も込みのプロダクトですよね。

川本:そうなんです。すごくシンプルであまり説明がいらないんです。曲げるための溝の深さだったり、幅だったりっていうものは何度もテストしたものなので、無意識に曲げていけば自然と出来上がると。完成する最後の美味しいところを味わっていただいて、ハイクオリティなものをお家に飾っていただきたいです。そのための仕込みに我々のデザインが施されているということですね。

—工場も含め、デザインから生産まで、こだわりの結晶と言えますね。

川本:パーツだけつくっていると、それが最終的にどんな形になるかって工場の人もわからない場合が多くて。でもこういった一点物をつくることに対してはとても喜んでもらえるんです。ものをつくる以上は、何になるのか、どうなるのかというところが楽しいところじゃないですか。工業化が進んで効率化されていった先に現代の分業体制があって、それは高度に洗練されたシステムですが、「ものづくり」の原点みたいなところに立ち戻ると、つくる側も俄然やる気になるっていう発見がありますね。


川本尚毅

1980年、広島県呉市生まれ。東京で環境デザインを学んだ後、ロンドンに渡りロイヤル・カレッジ・オブ・アート、インペリアル・カレッジ両大学で工業デザイン工学の博士号を取得。現在は横浜に拠点を置き、(株)N and R Foldings Japanを立ち上げ活動中。代表作にロイヤル・カレッジ・オブ・アートでの卒業制作である「ORISHIKI」シリーズなどがある。様々なアーティストのプロダクト作品でのコラボレーションや多ジャンルにまたがった企業との製品・サービス開発などに携わっている。

N and R Foldings Japan

nandrfoldings.com
Facebook: https://www.facebook.com/NAndRFoldingsJapan

Text: Yoshiki Tatezaki
Photo: Eisuke Asaoka


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応募期間:2019年9月24日(火) 11:00 ~ 2019年10月31日(木) 9:59


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