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スケートボードスピーカーdajacの“聴こえない音”

スケートボードデッキと一体化したスピーカーユニット。見た目のインパクトも強烈なこのプロダクトが、“聴こえなかった音が聴こえる”平面型のスピーカーだと知ったら、さらに興味がわかないだろうか?

松田雪音が手がけるスケートボードスピーカーブランド<dajac(ダジャック)>。サーフィンやスケートボードカルチャーをバックボーンに持つ彼女が製作するこのスピーカーが、ストリートシーンを中心に注目度を高めている。


dajacはスケートデッキとデッドストックのスピーカーから作られる。鳴らしたい音や設置する空間に合わせて最適なスピーカーを探し出し、雪音自身が1点ずつデッキに組み込みシェイプして製作する。

「デッキはスケーターたちが実際に使っていたものを提供してもらっています。ただ上手いだけじゃなくてスタイルがカッコいいスケーター。その人のスタイルが全部デッキに現れるから。スピーカーはほとんど市場に出回らない高音質のデッドストックを日本中から探しています」


スケートボードスピーカーdajacが生まれるまで

dajacが始まったのは2016年。以前は国内外を放浪しながらサーフィンを中心に生活していたという雪音が、音響とスケートそれぞれの師匠と出会ったことで今の活動へ繋がっていったという。


「東京に出てすぐの頃に真空管アンプの職人さんと仲良くなって、仕事を手伝ったりするようになったんです。その人が音の師匠。12年くらいお世話になって音のことをいろいろと学ばせてもらいました。スケートボードの師匠はWOODEN TOYの大場さん。私がサーフィンのために拠点を新島に移した頃に島で出会ったんです」

大場康司氏はオールハンドメイドのスケートデッキブランド<WOODEN TOY>を主宰するスケーター。大工として<大場組>の代表も務め、スケートパークのプロデュースなども行なっている。雪音は彼の工房を手伝いながらノウハウを学び、デッキのシェイプも自分で行うようになった。


「その頃にスピーカーの師匠から『スピーカーって元は箱じゃなくて平面だったんだよ』って教えてもらったんです。“平面バッフル型スピーカー”っていうんですけど、『それならスケートデッキでも作れるじゃん!』って思ったのが作り始めたきっかけです」

「最初は売るつもりはなかった」という1作目のスケートボードスピーカーをinstagramにアップしたところ、製作のオファーが殺到し、すぐに仕事になっていったという。


“聴こえなかった音”が聴こえる理由

dajacはスタートして間もないうちからGuru's Cut & Stand、Prime Skateboardなど人気ショップの店内スピーカーの製作を請け負い、先日は中目黒THE WORKSで初個展を開催するなど注目度を高めている。人気の理由はそのビジュアルはもちろん、見た目以上に強烈な印象を与える“音の良さ”だ。


「見た目が派手な分、『どうせ音は大したことないんでしょ』って思われることもあって、だからこそ音には一切妥協したくなくて。平面バッフル型スピーカーって音響マニアの人にも根強いファンがいたり音質に定評があるんです。使うスピーカーは60〜 80年代のデッドストック。この年代のスピーカーって本当にいいものが多いし、この時代の音楽も素晴らしいものがたくさんある。その時代に作られた音楽をその時代のスピーカーで再生することを楽しんでほしくて」

デッドストックのスピーカーをデッキに組み込み平面バッフル型スピーカーとして仕上げる。そうすることで中高音域の抜け感に特化したdajacの臨場感ある音質が出来上がっている。


「師匠が初めてこの時代のスピーカーを聴かせてくれたとき、そこで本当に楽器が鳴っている感じがして衝撃を受けたんです。ギターの1音目が鳴る直前の息遣いや空気感まで伝わるような音。感動しすぎて泣いちゃって。そのとき聴いたのはニール・ヤングの“Heart of Gold”。『70年代の曲が70年代の音で流れてる! 聴こえなかった音が聴こえる!』って。アツく語っちゃってすみません(笑)、でもそれくらいの体験だったんです」

音源が録音された当時のスピーカーで再生し、今まで聴こえなかった音を知る。それは、廃棄されるスケートデッキと古いスピーカーをプロダクトとして再生させその魅力に新しい光を当てるという、dajacのコンセプトとリンクしている。


「古い時代のスピーカーっていいものがたくさんあるんです。乗れなくなったけどカッコいいスケートデッキもいっぱいある。廃棄されるかもしれなかったものの魅力にもう一度目を向けるきっかけになればいいなって」

インタビュー後半では、デッキの傷から読み解く、スケートカルチャーの魅力について語ってもらう。

PHOTO:Manabu Numata, Yuri Nanasaki

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