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スケートボードスピーカーdajacのデッキ選び

前回、スケートボードスピーカーブランド<dajac(ダジャック)>のクリエイションと音へのこだわりを語ってくれた松田雪音。今回は彼女の作品を設置するショップ<Guru’s Cut & Stand>に場所を移し、スケートカルチャーやデッキそれ自体の魅力を聞いた。



スケーターは遊びかたが上手い

祐天寺駅の近く、東横線を頭上に望む小さなトンネルをくぐると目を引くグリーンの建物が現れる。Guru’s Cut & Standは美容院とショップが一体になった店だ。広々とした店内にはサロンスペースの他に、スケートボードビデオのVHS、レコード、スケーターたちがインディペンデントで作るアパレル商品などが並ぶ。店内のビデオデッキも現役で、レアなスケートビデオを観るためにGuru’sへ遊びに来るスケーターもいるという。

Guru’sのオーナーである久保勝也氏は、dajacのスピーカーについて「いい音で鳴るのに会話を妨げないし、インテリアとしてもいい」という。dajacのスピーカーは箱型と比べて振動が少なく人に不快感を与えにくい。インテリア的に好きな場所に飾りやすいのも特徴だ。


雪音は「Guru’sは自然に人が集まる場所で、スケーターたちのリスペクトを集めている」という。そのGuru’sがdajacのオーダーをくれたのは本当に嬉しかったそうだ。彼女がスケートカルチャーに惹かれる理由は何だろう?

「新島でサーフィンして上がると目の前のビーチにランプがあって、誘われてやってみたらハマっちゃって。サーフィンは毎回波が違ってそれが面白さでもあるけど、スケートは地面やランプが相手だから反復練習ができる。練習すれば絶対にトリックができるようになるんです。それに、デッキ1つあればいつでもどこでも遊べるんですよね。だからスケーターってとにかく遊ぶのが上手。どこでも遊び場にしちゃう感覚がいいなあって。スケーターに感度が高い人が多いのって、どんな環境でも面白いものを発見する視点があるからなんじゃないかなって」


自然を相手に楽しむサーフィンと、アスファルトやランプといった人工物を相手に遊ぶスケートボード。その違いに加えて、スケートカルチャー独特の現場のムードも大きな魅力だという。

「ランプでトリックメイクすると、みんなで盛り上がったりするんですよね。サーフィンだと波に乗っているときは基本的には一人の世界。それももちろん好きだけど、仲間で喜びをシェアするスケートの感じは新鮮でした。dajacを初めて感じたのも同じような感覚で、完成したスピーカーをお客さんに渡した時に本当に喜んでくれるんですよね。自分が楽しくて相手も喜んでくれてそれがお金にもなる。スケートボードとdajacを通して、人と共有する楽しさを知ったっていうか」


傷から読み解くスケートデッキ

最初に雪音が惹かれたのは、スケーターならではの自由な遊び方と仲間で喜びを共有するノリだった。そこからデッキ自体の魅力を発見するようになる。「傷ひとつ見ても個性がわかる」という、スケートデッキの面白さとは?


「デッキを見れば、持ち主のスタイルが見えるんです。傷の付き方も全然違う。例えば同じトリックを繰り返していると同じ場所にしか傷がつかないんです。ノーズ側が綺麗だとテールのトリックしかやってないのかなとか。ランプの人とストリートの人でも傷の深さが違うんですよ。ストリートはコンクリートとか金属とか、素材も形も色々なものを相手に滑るから、その分複雑で深い傷が残ります。練習している場所の地面が青かったらデッキも青くなるとか。デッキに貼られたステッカーを見れば、拠点のエリアとか仲のいい界隈が見えてくる。1枚のデッキにそういった色々な情報が刻まれているんです。だからカッコいいスケーターが使っていたデッキは絶対的にカッコいい。私はその傷やステッカーやグラフィティを含めてデザインとして捉えているんです」


知らなかった感覚に触れること

dajacのユーザーやファンにはスケーターや音楽通が多い。ただ、雪音自身はそのどちらでもない人に対しても、dajacを通して60〜80年代の音楽やスケートカルチャーに興味を持つきっかけを作りたいという。その思いを裏付けるようなエピソードを教えてくれた。


「神田のPrime Skateboardでスケートビデオを流したとき、dajacのスピーカーを使ってもらったんです。そこに集まっていたスケーターたちが『ウィールとかトラックの音ハンパないですね!』って音にアガってくれて。『この音、普段聴こえないですよ! 音のこととかよく分からないけど、超いいです!』って。そういう生のリアクションが最高に嬉しくて。私も元々音響マニアっていうわけでもないから、自分がそうだったように、知らなかった世界や感覚に触れるきっかけになってくれたら幸せです」

dajacはケーブルでつなぐ有線タイプのスピーカーだ。「Bluetoothには対応しないのか」と聞かれることも多いそうだが、雪音は「コード選ぶのも楽しいじゃないですか」と笑う。面倒臭さも含めて楽しんでほしいのだと。

PHOTO:Manabu Numata, Yuri Nanasaki

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