search search

ファッション・サブスクリプションサービスを実践

ー誰もがサブスクリプションする世の中に

「サブスクリプションサービス」といきなり言われてもなんのことやらだろうが、「利用した期間に応じて料金を支払う方式」のビジネスモデルのこと。去年頃からサービスが急増して、2017年は一般化した。

身近なサブスプリクションサービスでは、音楽配信の「Apple Music」「Spotify」。動画配信では「Netflix」「Hulu」。Photoshopなどのアプリケーションを使うために、「Adobe Creative Cloud」に課金しているクリエイターも多い。先鋭的な海外のサービスでは、ひげ剃りの替え刃が定期的に送られてくる「DOLLAR SHAVE CLUB」などもあり、二ーズに応じてサービスが多様化してきている。よく考えると、携帯電話の通信料や、もっと元を辿れば家賃もサブスクリプションサービスの源流なのかもしれない。


ー未来のデリバリーサービスを体験

人間の基本となる「衣・食・住」。その「衣」を扱うサブスクリプションサービスがひっそりと始まっている。インターネットで入会して毎月定額払えば、音楽だけでなくファッションも届く時代になった。CD屋、映画館やレンタルDVDショップなどに続いて、これで服屋に行く必要がなくなった。宅配ピザを頼めば外出せずに一生を終えることも可能だ。

ファッション・サブスクリプションサービスを行う「LOT2046」に自分が入会するようになったのは、アパレルサイト「SSENSE」が運営するマガジンの記事「LOT2046を考案した男との出会い」を読んでから。オンラインで課金をすれば、自宅に選定された衣服が毎月届くという、既存のファッションの流通形式に抗う姿勢に魅了されたから。

まず、その謎めたサイトにアクセスしてみよう。徹底的に無駄な要素を削ぎ落とした「LOT2046」のウェブサイトのトップページには、こう書かれている。「LOTは、衣類、履物、必須のセルフケア製品、アクセサリー、およびメディアコンテンツの基本セットを配布するサブスクリプションベースのサービスです」。ここでは衣服もメディアコンテンツという認識なのが独自の観点だ。

選べるプランは3つ。月額$49の「Basic plan」、月額$99の「Advanced plan」、無料の「Digital plan」がある。とりあえず、「Basic plan」をクリック。住所、氏名、カード番号などを入力してものの数分で契約完了。送料含めて毎月約7000円がクレジットカードから引き落とされる契約を結んだ。


ー送られてくる商品たち

登録してから数日後。中国の巨大都市シンセンから国際郵便が自宅に到着。郵便用のインク臭いビニール袋を開けてみると、透明な真空パックが出てきた。その真空パックを開けると、また小分けになった真空パックが。中には、パンツ、シャツ、靴下など、ベーシックな衣類が各種一点づつ梱包されている。すべてロゴのみで無地に近い製品。できる限り余計な要素を省いている。毎月違った製品が届き、ロゴ付きの巻き尺が梱包されている場合もあった。

ひとつ上を狙いたい人向けの「Advanced plan」では、タトゥマシン、竹炭のシャンプー、ライトニングケーブルなどが送られてくるようで、多彩な品ぞろえだ。と言いたいが、この奔放な統一感のなさに思わずにやけてしまう。

LOT 0057



ーネット慣れした感覚

お試ししたい方向けのプランもある。無料の「Digital plan」に登録すると、メールマガジンが届く。DJミックスのURLが記載されていたり、なにかしら楽しめるものがデータで送られてくる。SoundCloudにアップロードしているので、オンラインのDJカルチャーに親しみのある人なのだろう。SoundCloudだけでなく、各種ウェブサービスに登録していて、Youtubeではブランドのイメージビデオや、オリジナルのエレクトロニック・ミュージックのトラックも公開され、謎の交友関係を描き出している。Instagramでは、ストーリー機能でしか更新しない。そのヒネくれ具合も好事家の心を掴む。

このエゴをかき消すようなブランドコンセプトを調べていくと、ロシアのデザイナーVadik Marmeladovaによるものとわかった。彼はAir BNBに買収されたサービスLapkaを作るなど、ウェブサービスに関して先見の明があり、今回のサービスが思いつくのも合点がいく。

インターネットで遊ぶことに慣れ親しんだスタンスで運営していて、まるでミステリアスなオンラインレーベルのような存在だ。荒れ地だったインターネットが整備されて、すべてが明文化されていく中で、まだまだ開拓できる要素があるという希望を見出してくれる。


TEXT:高岡謙太郎
PHOTO:寺沢美遊

SHARE

}