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F/CE.デザイナー・山根敏史が語る、旅とクリエイション


「普通だけど特別なもの」をうみだすために


都会的で洗練された雰囲気に、質実剛健なものづくり。デイリーユースにはもちろん、どこか遠くへ行くときの相棒としても最適なアイテムが揃うファッションブランド「F/CE.」が、来年で10周年を迎えようとしている。デザイナーである山根敏史さんは、インストバンドtoeのベーシストとしても活躍し、有形無形を問わず様々なシーンへ心地よさを届けてきた。そんな彼を構成する上で欠かすことのできない、“旅”にまつわるいくつかのエピソード。

—服飾にまつわる様々なお仕事を手がけられていますが、山根さんご自身が好きな洋服やプロダクトはどのようなものなんですか。

「リーバイス」のデニムや「グレゴリー」のバッグパックみたいな、「普通だけど飽きない」ものが好みです。自分たちのブランドもトレンドを意識するというより、「ベーシックだけど飽きないね」と思ってもらえるようなものを作っていけたらと思っています。


—本日は経営されているセレクトショップ[ROOT]へお邪魔していますが、店名にはどんな意味が込められているんでしょう。

僕の名前が山根なんですけど、「根っこ」って英語で「ROOT」じゃないですか。そこから取ったというのもあるし、僕たちは何かを作る上で「ものごとの根っこ」を掘り下げることを大事にしているから。あとはどこかに旅をして、辿ってきた「ルート」という意味もあります。



—山根さんが何かを生み出す上で、「旅」というのは欠かせないものなんですか。

僕がやっている「F/CE.」というブランドは、シーズン毎にひとつの国をテーマに服作りを行なっているんです。そのためには実際に現地でインプットしないといけないので、旅は欠かすことができません。

—アウトプットである洋服やプロダクトから察するに、インプットは洋服に限らず、様々なものから着想を得ているような印象を受けます。

海外のマーケットとかに行くと、もちろん古着も見るんですけど、絵本やDVD、レコード、タイポグラフィ、挙げればキリがないけどデザインソースになりうるものはたくさんあって、隈なくチェックするようにしています。


—海外への憧れだったり、興味を抱いたきっかけみたいなものはありますか。

中学生くらいからアメリカのカルチャーが好きで、ニューヨークのハードコアからシカゴのポストロック、東西を問わずヒップホップやロカビリーまで。時代や地域、ジャンルを超えて音楽を聴きながら、ファッションとの関係性を追いかけていました。30歳くらいまではずっとそんな感じでしたね。

—ファッションでいうと、どのあたりに惹かれることが多かったんですか。

ファッションの裏にあるカルチャーというか、同じ国でも着ているものが地域やスタイルによって違うことが面白くて。90年代とかに、ニューヨークのBボーイは「トミーヒルフィガー」を着ているけど、西海岸のスケーターは「ディッキーズ」のチノパンに「バンズ」履いていたりして。それってお金がないけど、アイロンが落ちない「ディッキーズ」を履くことで綺麗に見せたいみたいなことだったりする。日本にいるとエリア毎に服装が違うことってないし、あまり馴染みがない感覚だからこそ、とても面白いなと思って。そういうのを掘り下げていくうちに、古着にものめりこんでいきました。



—古着の魅力はどのようなところにありますか。

たとえばハンドペイントされた服を見たら、着ていた人の生き様や趣向が伝わってきますよね。そういう物語がある洋服っていいなと思っているし、僕自身ストーリーがあるものを作りたい。それはホームページひとつとっても。「F/CE.」のホームページのメインビジュアルは、バウハウスのデッサウ校舎の前で、ふたりのじいさんばあさんが、僕たちが作ったバックパックを背負いながら写真を撮っているところです。バウハウスってヒトラー政権に潰されちゃうんですけど、それまでにめちゃくちゃいいアーティストを輩出して現在まで大きな影響をあたえている特別な場所。無くなっちゃうタイミングでバウハウスを卒業した人って、今90歳くらいになっているはずなので、彼らが学生時代を懐かしんでいるようなビジュアルがつくれたらと思ったんです。その一枚を撮影するために、モデルになってくれる人を5時間くらいかけて探したりして。そういう背景をみんなに知ってほしいわけじゃないけど、こういうストーリーがあることに、僕は面白さを感じるし惹かれてしまう。


—デザインへ落として行くプロセスは、具体的にどのような感じなんですか。

アウトプットの期間を完全に決めて、集中して一気にやっちゃうことが多いです。先週もベトナムに3日ほど滞在して、工場の担当者とやりとりしながら25型くらい作ってきました。その間は観光だったりインプットみたいなことは一切していません。

—同じくアウトプットでも、音楽をやるときはどのような感覚なんですか。

音楽をやるときは、とにかく「いいライブをすること」だけ考えています。仕事モードとは完全にスイッチを切り替えますね。


—最後になりますが、直近で気になっているトピックなどがあれば教えてください。

この前アメリカに行ったときに、「REI」というめちゃめちゃデカいアウトドア専門店へ行ったんですが、全部リサイクルの素材しか扱わないというスタンスで驚きました。僕らがよく使う、ナイロンやポリエステルってすごく環境汚染をしているので、今後はリサイクルのナイロンも意識してやっていきたい。ブランドとしてサステナブルを推していきたいわけではないけど、次の世代に何をどう繋いでいくかはちゃんと考えていかなきゃって。最初の話に戻りますが、長く使っても飽きないようなものづくりをしていきつつ、みんながハッピーになることを実践していくことが、ブランドを続ける意義だと思っています。


山根敏史

「OPEN YOUR EYES INC」代表、オリジナルのアパレルブランド「F/CE.」デザイナー。今期よりクライミングパンツの雄、「グラミチ」のパフォーマンスラインにてデザインとクリエイティブディレクションを担当。日本を代表するインストゥルメンタルバンド「toe」のベーシストとしても活躍。

Instagram: @satoshiyamane
http://fce.tools/


Text: Shunpei Narita
Photography: Junko Yoda [Jp Co.,Ltd.]


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応募期間:2019年10月31日(木) 10:00 ~ 2019年12月9日(月) 9:59
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