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生粋の東京人、ハルカから見た東京の街

高円寺で生まれ育ち、祖父母も近くに住んでいるため「仕事以外で東京を出る用事がほとんどない」と言うハルカ。全国から多くの人々が夢を持って集まってくる日本の中心地で、意外と出会うことの少ない『生粋の東京人』の目に映る東京とは。彼女が幼い頃から慣れ親しんだ街をぶらつきながら訊いてみた。


ハルカが意識的に“高円寺らしい”場所を訪れるようになったのは、中学の頃。

「初めて行ったのは地下にあるライブハウス。世のなかの地下にあるものって、だいたい気味が悪い、見ちゃいけない、入っちゃいけないっていう感覚があったんです。実際そこは、暗くて汚くてうるさくて、でもそれが、13歳とか14歳の自分にとってはすごく刺激的で。モヒカンに鋲の付いたライダースを着ている人や、チェックのスカートを穿いている人もいました。いわゆるパンクなお兄ちゃんたちのライブ。ちょっと危ない雰囲気とは裏腹に、みんなすごく優しかった」


そして中学を卒業したハルカは、高円寺から中央線で一本の、新宿にある都立高校に通うことになる。

「拭えないアングラ感とかカルチャーのにおいとか、中央沿線ってそういうのがあるんです。変な人がいっぱいいて、変な店もあちこちにあって、そこから自分たちで何かを表現しようとか、何かを作ろうとか、とにかく妙なエネルギーがうごめいている気がします。今は街も綺麗になっちゃったから、そこまでではないと思うんですけど、『高円寺に住んだら終わり』みたいに言う人もいすよね。私も子供ながらに、楽しいんだけど『いつまでもここにいちゃいけない』って思ってる部分もありました。そういうところも含めて好きなんですけど」


ハルカがよく通っていた高円寺駅近くの喫茶店『R座読書館』。その名のとおり、読書をする人のための静かな店だ。

「今は高円寺を出て一人暮らしなんですけど、実家にいた頃はこの店で、朝から晩まで本を読んだり歌詞を書いたりしつつ、ここに住んでこのまま音楽を続けて、その先があるのかとか、すごく考えてました」


では、例えば恵比寿や代官山、中目黒など、上京したい人の憧れランキング上位の街は、ハルカにはどう見えているのだろうか。

「ずっと中央沿線で生活していたから、よく知らないんですよね。中目黒なんて、大人になってから初めて行きましたから。正直言って、何かしらのコンプレックスはありますし、それによって訪れることを避けていた部分もあったかもしれない。というのも、私の人生の密かなテーマは『横入り』。正当なトーナメントを戦ったら勝てないから、自分なりの戦うルートを探すみたいな。代官山や恵比寿、青山とかって、まさに私が避けた戦いを勝ち抜いた人たちがいるイメージで。でも、何をしてヒエラルキーのトップなのか。漠然と憧れる人は多いかもしれないけど、虚構のようにも見えていて、魅力を感じない自分もいます」

ミュージシャン活動を中心に、歌詞以外の言葉を使った仕事にたいしても意欲的で、近年は女優としても活躍。40周年にあたって舞台化が決定した、アニメ『銀河鉄道999』のメーテル役にも抜擢されるなど、ある意味表現の王道で注目を浴びつつあるハルカ。高円寺で育ちその独特の空気を愛しながらも、そこに定住するか否か悩んでいたからこその『横入り本格派』の今後が楽しみだ。



TEXT: TAISHI IWAMI
PHOTO: Takuya Furusue

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