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河村康輔がマインドセットする無意識のストーリー

切り取られるネオストリート
未だかつて見ぬ現代のコラージュ


誰もが一度はそのすぐそばを通ったことがあるだろう。〈KOSUKE KAWAMURA〉作品は企業広告やカルチャーマガジンの誌面上などあらゆるシーンで独特のビジョンを世に送り出す。はたまたアート界の大御所からの信望もぶ篤い。河村康輔さんは現代ビジュアルのフロントロウを駆け抜けている。そうかと思うと、ストリートの空気を思う存分に吸い込みファッションブランドとの数々のコラボレートを手がける。当たり前のような顔をしてストリートカルチャーへの造詣が深い。

シーンを再構築し続ける河村康輔さんのマインドを探ってみた。


- まずはじめに河村さんのアートワークについて教えてください

「コラージュって誰でも出来ると言ったら変なんですけど、切って貼ってなんて子供でも出来てしまうんです。それにカッコイイ写真なんて世界中にいくらでもあるので、そこに写真を貼っても面白くないと思っています。その時のコンセプトやメッセージを直接的ではなくて少しひねって関連する素材を選んだり、例えば50年代のエロ本の素材とかに意味をつけて崩すことによって今の現代の意味合いを持たせて作品にするといったやり方です。その時の自分の中での言葉遊び、常にそれを頭の中でやっている感じですね。」



きっかけは時間がなかった

- シュレッダーを作品に活かそうと思ったのはどうしてですか?

「初めて作品集を作った時にページ数が足りなくて、校了日の前日まで待ってもらいながら、全然間に合わなくてとても不安だったんです。ちょうどその頃、たまたま別の仕事の打ち合わせで行った事務所でシュレッダーにかけられた細切れのゴミを見たんです。その夜に子供の頃にやっていた砂絵の手法を思い出して、それで全部無理矢理ごまかせると思っちゃったんですよ。それに絞って決めてからはさらに余裕をかまして校了日の前日まで何もせずにいて、いや当日かな(笑)、夕方までに入れないと本当のマジのデッドですっていう日の午前中に作業してて、あとはシュレッダーかけて終わりだっていう時にうちの事務所のシュレッダーにかけたら全部棒で出てきちゃうすごく古いタイプだったという(笑)。もう悪あがきで形作ってすごい縦長のやつをまいてみたんですけど、絶対どうにもならないんだけどやっぱりどうにもなんなくて終わったなって思いながらグチャグチャってなったのを見て、その時これ貼っちゃった方が早いかもと思って、本当に誤魔化すためにやっちゃってそれが良いのか悪いのか、自分の作品集だし、もうこれでいいやって無理矢理校了しました。見栄えも良かったし(笑)」。



大友克洋さんの反応がすごくよくて

「最初の頃はシュレッダーで切ったものを戻すんじゃなくて細切れになったガラをランダムに貼って一枚のテキスタイルっぽい迷彩みたいな感じにして、それが意外と引いて見たらだまし絵みたいに絵が見えるんじゃないかと実験的にやってみて、これイケるなと思いました。その頃に大友克洋さんと食事に行く機会があってこの話しをしたらすごく反応が良くて、作品集の表紙にしちゃえばって仰っていただいて、そのまま表紙に使ったんです。おかげでそれがメインの作品みたいになっちゃったんですけど(笑)。」



全部が割と偶然ですよね(笑)どう代用していくのかって

- 砂絵と細切れのシュレッダーのエピソードから奇跡的な運命を感じてしまいますがー

「チラシでもなんでも細切れにして再構築したら形になっちゃうすごくアブストラクト(抽象的)な作品なので考えなくてもできてしまうから飽きちゃって1年くらいやらない時期もあったんです。その後、久しぶりにシュレッダー使ってみたら、使わないうちに壊れちゃっていて紙の真中の部分が切りきれずに切取線みたいになって残ってたんです。それを見てこれ頑張れば復元できるんじゃないかと思って、それから古い型なんですけど、インターネットで同じシュレッダーをもう一度買い直しました。それで復元してみたらアブストラクトな作品より全然面白くて、そこからはトライアル&エラーの繰り返しです。」


- 河村さんの世界観はどのように生まれますか?

「全部狙ってなかったところから偶然でここまできて、最初は何でも良くてやっていたことが今は絵を復元しているから元の絵がわかっちゃうので、今は作品にするための素材に意味を持たせるところに時間がかかるようになってきています。」

- 素材を選定するポイントや作業に入るまでにある程度のイメージはありますか?

「シュレッダーの時にはこれって決めています。そのほかのコラージュ作品の時は2枚か3枚くらいメインの素材を最初に決めていて、そのあとは全く決めないです。頭の中で面白いなと思っているイメージとリアルに見るイメージと全く違う別物になっているから、置いた瞬間にそれから先のストーリーが広がり始めるのでそこから先はどんどんもっと自由にその場で決めていきます。」


飽きてしまっても次へ次へ

- 街を歩いていて、これ良いなと思ったりすることはありますか?

「街を歩いていて広告を見たりすると、街の風景全部込みでこの場所にこの広告は面白いなとか街を動きながら頭の中でずっとそういう遊びをしています。とは言っても頭で考えてるということよりも、降ってくるものを最重要視しているので何も考えずに歩いています。ただ無意識の内に何かを見ていて、現代に生きてしまっていると全てがもう広告として飛び込んで来ちゃっている。自分の中で引っかかるヒントの様なものはほうっておいても気になっているんですよね。それがスイッチになっている感じです。」


- 何かに飽きた時の河村さんはすごいことを始めそうですね

「無意識でも何かを考えているんだと思うんですよ。飽きたと思っていても新しい手法って考えても出てこないじゃないですか。やっぱり偶然じゃないと脳の中で見たことがあったり触れたことがあるもの以上のことって出てこない。偶然って気づいていなかった、自分の中で見て触れたりしていてもこれまで無視していたことが無理矢理引き出される。ここの場はこれで凌げるっていう力技が逆に突破口になったり、本当に飽きてきた頃が一番次への進化があると思うんです。困ると人間って無理矢理にでも何かをひねり出すじゃなですか、どうにかしないとっていうその勝負ですね。ライブみたいな感じでやっているのは新しい手法を思いつくための実験の場に近いかもしれないです。」


そのコラージュワークを一度目の当たりにすると、頭の中はどうなっているのかと思わせる一瞬の脳内トリップが訪れる。得意のコラージュワークでシーンを再構築し続ける河村康輔さんの“Inspiration”は人々を真新しいストーリーへ誘い込むだろう。


河村康輔
Art Director/Designer/Collage Artist
www.studiozaide.com

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