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ラップに果敢に挑戦するモデル服部恭平

「モデルはマネキンのように美しく」という時代からパラダイムシフトが起き、近年のファッションシーンにおいてモデルは中性的でありモデル本人にも強い個性が必要となるのは当然のことになってきた。そんな中、長髪メンズモデルとして活動してきた服部恭平が登場した。

「モデルの仕事は、基本的にクライアントからの案件にフィットするのを待つスタイルなのですが、僕の場合オールマイティに合う存在ではないと気づきました」と語るように、彼の場合デザイナーからもフォトグラファーからも、「ただのモデル」というより「彼の個性すべて」を気に入って起用されているように思える。それもそのはずで、モデルだけではなく2年前に自ら始めたラップ(通称「ハットリラップ」)はInstagramという現代的なツールを伝って、オカモトレイジや極onthebeatsなど同世代のミュージシャンからも一目置かれている程話題になっている。なぜそこまで服部のラップは人々を惹きつけるのか?そして自身のモデル活動にどのような化学変化を引き起こしているのか?

*ラップの動画


―モデル活動とラップの化学反応

東京拠点で活躍する彼だが、意外にも高校まで大阪で生まれ育ったそうだ。そしてまたしても意外なのが元々プログラミングの専門学校に通っていたこと。(それは今になってモデルの彼が自身のウェブサイトを作ってしまうという形で役に立っている)「高校までプログラミングを勉強していたんですけど、進学など考えるタイミングで『このままここにいていいのか?』『何者にもなれない自分のままでいいのか?』というモヤモヤした疑問が心の中に生まれました。そこから勉強も身に入らずにどうすることもできず、自分の中で抑えきれなくなった感情そのままにして上京してきました。でもそういう衝動があったからこそ、上京後は『自分のやりたいことをやっていい、やらなきゃいけない』って吹っ切れた気持ちで前進することができたと今では思います」。

上京してから、長髪メンズモデルとしてしばらく個人でモデル活動を続けていた彼。一般的にモデルのInstagramといえば自身が掲載した写真やお洒落な投稿をイメージするが、2015年頃から彼のInstagramには自宅で収録されたラップが自主制作の映像とともに投稿され始める。「声さえあれば、どこでも自分の想いを世の中に言える所にヒップホップの魅力を感じてました。言えないこともラップにのせるとうまく伝わるんです。またネットの文化も好きで、YouTube、ニコニコ動画とかでアップロードしている人がいる傍ら自分はInstagramでポストしてみようと思ったのが『服部ラップ』の始まりですね。でも始めた当初はただ興味でやってただけなので、最近はラップの歴史など勉強したり研究したりしてます」。

尊敬するラッパーはKOHHだという。日本語ラップ特有の倒置法や文章を区切るなどの方法を使わずに、会話のようにありのままリリックを刻むKOHHのスタイルに憧れているそうだ。それは服部自身のラップのスタイルにもあらわれていて、日常で感じたことをありのまま飾らずに言葉にしている。そのように等身大の自分をあらわす鏡として機能するラップは、モデルの中性的なイメージとは異なる服部恭平の個性を引き出した。


―休止したラップを個性として

最近になって事務所に入ってから一旦すべてリセットするように、ラップも長髪もやめてクリーンなモデルとして新しいスタートを切り始めた。が、それもそう長くは続かず、すぐにみんなが好んでいたいままで通りの個性的な服部恭平が戻ってきた。ラップを再開した理由は、ラップを好きという基本的な想いはもちろんのこと、ここ数年モデルの経験を積んでからの想いもあったらしい。

「クライアントを待つスタイルではなく、自分から発信する形で他のモデルとは異なる個性を出せたらと思って、ラップを再開しました。また長髪をやめたのは、髪を切ってもラップ含め自分の強みはもう残るように感じたんです。あの長髪があったこそ、憧れのランウェイを歩けたわけですが、海外ではまだキワモノ枠として見られてしまいます。次のステージに進むためにも今よりもさらに『服部恭平』としての輪郭を明確にしたいと思ってます」

彼の入ったモデル事務所はもともとレディース専属であったため、メンズモデルとして服部が所属するのは異例のことだった。いままで1人で自身の個性を潰すべきか生かすべきか模索していた彼にとって、事務所は良きパートナーとしてプラスに働いているようだ。

「元々モデルとして活躍していた事務所の社長に1回パリを見てみなさいと言われて、去年2回機会をいただきました。1回目はパリファッションウィークのシーズンに訪れて、初めて東京ファッションウィーク以外の雰囲気を知ることができました。幸いなことに僕を知ってくれているエディターさん、ライターさんに会場でたまたま遭遇して、KENZO、sacaiなど東京発のブランド含め計10ブランド程観に行けました。もちろん東京とは比でない規模に衝撃を受けたのですが、なんの根拠かわからないけど僕もこの場所で勝負できるんじゃないかって気持ちにもなったんですよね」


―ラップによって生まれる新たなコミュニケーション

東京では「ハットリラップ」含め独自のユーモアが面白がられている彼だが、やはりパリは競争率の激しい世界だった。「その後オフシーズンに事務所を探しに再度訪れたのですが、結果は全敗。一般的にパリのモデルの基準は186cmと知りながら、基準を取っ払って出演している日本人モデルの姿を見てその例外に自分がどこまで当てはまるか勝負したんですが、事務所を訪れて182cmと自分の身長言っただけで門前払いでした。そこで惨敗して誰も自分に興味を持ってくれないショックの反面、日本で自分を好意的に思ってくれている人により一層感謝しなきゃいけないと感じました」

知る人ぞ知る「ハットリラップ」は彼のモデル像に対しても大きな変化をもたらしている。「この前大御所のファッションデザイナーさんにも『本当にナチュラルで使いやすいモデルになるか、キャラクター化してしまうかどちらかに覚悟決めた方がいいよ』とアドバイスいただきました。自分としてはこれが普通で演じてるつもりもないから、このまま「服部恭平」として立つ存在にならないといけないと思ってます」


服部恭平が目標とする「いい男」とは?
https://kode.co.jp/Articles/style-kyohei_hattori_fashion

服部恭平の行きつけのナポリピッツァ専門店
https://kode.co.jp/Articles/food-kyohei_hattori_pizza
 


TEXT : YOSHIKO KURATA
PHOTO : KENICHI INAGAKI

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