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文字を愛するアーティスト“Letterboy”

まずは先入観なしに、この動画を見てほしい。

Instagram calligraphy 2016

これはスウェーデン出身、東京在住のカリグラフィー・ハンドレタリングアーティスト“Letterboy”による「Instagram calligraphy 2016」と題した動画。滑らかな筆の流れと、そこから生み出される多種多様な文字。その制作風景は、時が経つのを忘れて眺めてしまうほどの魅力に満ちている。

Letterboyは2016年の1月に日本へ移住した。それまでも日本には何度か旅行で訪れていたそうだが、移住を決めた一番の理由は、単調に感じたスウェーデンでの生活から環境を変えたいと思ったことだったという。


文字にまつわるARTと出会ったキッカケをLetterboyに聞くと……。

「私はオーストラリアの大学で4年間グラフィックデザインを学び、卒業後はスウェーデンの地元・マルメに戻り、グラフィックデザインの仕事を始めました。ただしその後、コンピューターのみのグラフィックデザインではなく、自らの手を動かして描くカリグラフィーをインターネットなどで目にするようになり、自分でも徐々に練習し始めました」

カリグラフィーの語源はギリシャ語の「callos(beauty)」+「graphein(to write)」。つまり美しく描くことを意味し、その手法は“アルファベットの書道”と評されることもある。


Letterboyは異なる道具、異なる書き方を駆使して作品を生み出す。シンプルなものから文字の周りを飾った華やかなもの、ポップなものからクールなものまで、作風は幅広い。

「さまざまな字体での文字に興味があるので、常に新しい手法を習得したいと思っています。また、字体によって使用する道具も異なるので、たくさんの種類のペンや鉛筆、筆やインクを持っていて、いつも新たな道具や新たに利用できるものがないかと探しています」


現在は東京や大阪、スウェーデン、オーストラリアなど世界各国でのワークショップの開催や、ブランドのロゴ制作、デザイン提供、ウィンドウへのサインペイントなど、文字にまつわるさまざまなアートワークでワールドワイドに活動している。



中でも彼にとって印象に残っているのは、Montblanc銀座店のウィンドウにサインペイントした時のこと。「大きな窓4面に施すデザインから制作まで、全て自分のアイディアを提案させていただけて、私自身も楽しんで制作できた。銀座中央通りの角に面している店舗でしたので、制作時や完成してからも多くの方に見ていただけたようでよかったです」と語る。

#てがきでつたえる Montblancと考える「てがき」の意味 - Letterboy 編

Letterboyの文字は美しい。ただ、彼の言葉を聞くと、その美しさは日々の努力に支えられていることに気付く。Letterboyの作品という名のアウトプットは、膨大な量のインプットから生み出されている。彼はアーティストであり、ずば抜けた努力家なのだ。


「私は街中で見かけた手書きの看板や洋服、その他のアーティストの作品や好きな音楽、映画など、あらゆるものからインスピレーションを受けています。クライアントからの依頼の際は、希望の内容を理解してデザインに落とし込み、なおかつ完成品に満足していただけると私もうれしい。ただ自分にとっては常に技術を上げて、さまざまな文字が書けるように日々練習を重ねていますので、まだ満足はしていません」
 
手書きの文字の美しさは、単に整っているだけでは生まれない。そこに込められた想いが温かみとなって、見る者の心に訴えかける。Letterboyの文字への愛情と探究心。それが彼の作品にとって、大事なエッセンスとなっているのかもしれない。


TEXT BY:ラスカル(NaNo.works
PHOTO BY:Letterboy&Tokiko Nishioka

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