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書道家万美の定番パンチラインとは?


書道に不可欠な、言葉。書道家の万美は作品を書く際、いったいどのように、その言葉を決めているのだろうか? 作品によって、ビジュアルのイメージが先行し、そのイメージを表すために最適な言葉を選ぶ場合と、言葉が先行して書き方を決める場合があると話す、万美。そして、言葉が先立つ作品について、彼女がそのヒントを得ているのが、自身が“パンチライン集”と呼ぶ『禅語集』なのだという。

「“禅語”っていうのは、簡単に説明すると、昔のお坊さんが言っていたありがたい言葉のことなんですけど、いわゆる茶席の床の間の掛け軸に使われているような言葉で。『禅語集』にも、薄い本から枕みたいにぶ厚い本までいろいろあって、普段からそれを見て、心に残った言葉とか、クラった言葉を作品に書いています」


なかでも彼女が好きな言葉が「和敬清寂」。

「千利休が好んでいた言葉らしくて、茶席の空間の精神を表す言葉なんです。お茶をふるまう人とお茶をいただくお客さまっていう、人と人との関係はもちろん、茶室やお茶碗などの場所や道具にも尊敬を示すことによって、いい空間を作ろうとか、漢字一文字一文字にいろんな意味が込められた、素敵な言葉なんです」



これまで作品として、もっとも書く機会が多かったというその言葉を、自身と同じくヒップホップ好きの周囲の友人に説明する際には、彼女なりに翻訳して伝えているという。

「そのまま説明すると『へー、すごいね』って終わっちゃうので、私はいつも『お互いにリスペクトしあって、バイブス高めてこうっていう意味だよ』って言っていて(笑)。そうすると友達にもちゃんと伝わるんです」


書道とグラフィティという、ふたつの異なるカルチャーをミックスし続ける、彼女らしい言葉の選び方だ。

「まずは自分自身が理解しないと深みが出ないし、リアリティもないので、自分で理解するために、“バイブス”とか“パンチライン”みたいな言葉を使ってるところはありますね。そうやって説明することで、人もわかってくれるから、それが楽しくて、現代語訳を考えてるんです」


Text: Yuri Matsui
Photo: Takao Iwasawa
協力: HIGASHIYA GINZA

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