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波佐見焼再興の立役者・馬場匡平の次なる一手

愛らしいルックスの裏にある力強さ

 全国各地に焼き物の名産とされる場所がある中、長崎県の「波佐見焼」がメジャーに躍り出たのはここ10年ほどのことだろう。縮小の一途をたどっていた地場産業が再び息を吹き返したきっかけは、ポップなカラーリングと直線的なシルエットが特徴の「ブロックマグ」で知られる「HASAMI」ブランドの誕生にある。当時の商品開発責任者で、現在は「HASAMI」の他にも合計4つのブランドを束ねる有限会社マルヒロ代表・馬場匡平さんへインタビュー。400年続く地場産業をアップデートし続ける彼の次なる一手とは。

 

—アイコニックなカラーリングと直線的なシルエットの「ブロックマグ」などを手がけたことで知られていますが、馬場さん自身はもともとプロダクトデザインなどに興味があったのですか。

全く興味はなかったです。家業が波佐見焼の産地問屋だったんですけど、22歳の時に実家から「戻って来い」と言われるまでは別の仕事をしていました。「産地問屋」って聞き慣れない言葉だと思うんですけど、これは波佐見焼独特の仕事で。波佐見焼って完全な分業制だから、工程ごとに職人さんが異なるんですよね。僕たち産地問屋は、直接的に何かを作るということは基本的にしません。企画を立てて職人さんに発注して、出来上がった商品を出荷するところを担います。

 


—ブランドを象徴する商品「ブロックマグ」が誕生した経緯を教えてください。

当時は若かったから、角張ったりしたものとか、アメカジっぽいのが好きだったということも勿論ありますけど、僕自身がデザインのプロじゃないから綺麗な曲線を書くことができなかったというのが大きいです。結果的に、直線的でシンプルなデザインにならざるを得なかったんですね。

 

 
—マグを完成させるまで、かなり研究もされたのではないですか。

リサイクルショップで50個くらいマグカップを買って、使いやすさや持ちやすさを徹底的に検証しました。隣町の有田では一点物の高級品を作っているのに対し、波佐見焼はあくまで日常雑器。使うことが前提にあるから、戸棚に入れる時に重なる方がいいねとか、実用面も含めて色々と試行錯誤をして。職人さんと相談しながら作っていきました。

 

 

—完成した時の周囲のリアクションはいかがでしたか。

もともと波佐見焼って「白」という概念が強くて、あってもパステルカラーくらいだから「そんな変な色、売れる訳ないやろ」っていう人も多かったです。分厚くてがっしりとした作りも、「ファミレスみたい」って意見も多くて。色んな意見があったけど、挑戦するしかないと思って勝負に出ました。

 

 

 

—現在はブロックマグにとどまらない、幅広い商品ラインナップも印象的です。

食器は全般的に作っていますが、最近面白いと思うのは、昔だったらあり得なかった業種の人とものが作れること。アパレルや音楽事務所から「どんなことができるの?」って相談されることも多いんですよね。結構無茶苦茶な依頼もありますよ(笑)。

 

 

 

—馬場さんが手がけている、「BARBAR」というラインではアーティストとコラボレーションした蕎麦猪口(そばちょこ)などもたくさん出していますね。

若い人に食器を買ってもらいたいという想いも強くて、コラボレーションも積極的に行っています。なぜ蕎麦猪口かというと、日常雑器の店としてやらせてもらう中で、蕎麦猪口ってとても大事なアイテムじゃないかと思うんです。江戸の終わりから明治の初期にかけて蕎麦が流行って、汁を入れるのにいいねってことで「蕎麦猪口」と呼ばれるようになっただけで、もともとはお新香でも煮物でも、何を入れてもいい「猪口」だったんです。だから逆に今であれば、もっと多用途に、デザートを入れてもコーヒーを入れたっていいかもしれない。日常食器として、もしかすると一番バリエーションがあっても面白いのは蕎麦猪口なんじゃないかって思うんです。

 

 

—これからはどんなことに挑戦される予定ですか。

波佐見町に公園を作ろうと思っています。この街にはグラウンドはあるんですけど、公園がないんですよね。「波佐見町に異文化を」というのも一つのテーマでやっていて。現在僕は34歳なんですけど、人生100年時代、後50年間同じことをやり続けるのは、正直無理かもと思っています。僕はものを生み出せる職人でもないし、特別なスキルを持っている訳じゃない。だからこそというか、何かを考えるための場所が波佐見にできたら、また別な戦い方ができるかなと思うんです。正直なところ、「別にせんでもよかよね~」って心の中の俺が言うこともあるけど、何かをやらないと進化はしないから。具体的には日本庭園とスケートパークの融合みたいなことを考えていて、ホットドッグとかを売ろうと考えています。

 

—メインの事業の今後でいうと、これからも新しいデザインのものを作っていく感じでしょうか?

「新商品を出し続けることこそ正義」みたいな感覚があるけど、僕が追求したいのはそこじゃないんです。ブロックマグはもちろん、今までに作ってきたものを使ってもらえる幅をどんな風に広げていくか、そして長く愛してもらえる人を増やす方がいいかなと考えています。新しいものも作っていくとは思いますけど、今までに作ってきたものが、結婚する時に買い揃えたりするようなアイテムになったら嬉しいですよね。

 

 

馬場匡平

1985年、長崎県波佐見町で、波佐見焼の問屋の家に生まれる。高校卒業後、福岡の流通専門学校に入学後、実家の取引先である大阪のインテリアショップで働く。福岡でフリーターとして、洋服屋、パン屋、エレベーターの設置など、様々な仕事を経験したのち、父親の申し入れで家業を継ぎ有限会社マルヒロ代表を務める。現在は波佐見焼の陶磁器ブランド「HASAMI」をはじめ、4つのブランドを展開中。

 

Instagram: @maruhiro.hasami

www.hasamiyaki.jp

Text: Shunpei Narita
Photo: Masahiro Ibata

 

 
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