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日本初!ARファッションショーの仕掛け人 MESON伊藤淳

知覚の拡張からよりパーソナルな相棒的存在へ 現在進行形で成長を遂げる技術

近年、VR(Virutal Reality=仮想空間)、AR(Augmented Reality=拡張現実)を体験できるイベントやコンテンツの普及が目覚ましい。今なお日進月歩で成長を遂げ、いっそう身近な産業となる過程にあるVR/ARの魅力、そう遠くない未来に可能となる日常を、この領域における第一人者のひとりである伊藤淳さんに語ってもらう。


―伊藤さんがIT・テクノロジーに触れるようになったのは新卒でウェブ系事業開発会社に入社してからだったんですね。

大学では経営を学んでいましたが、市場としても伸びていて変化も多いウェブ・IT分野が、新しいもの好きな自分に合うと思いました。プロデューサーとしてアプリ制作業務などに関わる一方で、社内でガジェットサークルを立ち上げて会社の予算でドローンや3Dプリンタなど最新のガジェットを購入し何ができるか遊びながら独学していました。その時にヘッドマウントディスプレイ(VRを体験できるゴーグル)を買って、簡単なシューティングゲームやリモートチャットをして遊んでて。よくわからない外国人とカクカクしたポリゴン状のアバター同士で挨拶するみたいな。その時「人がいる!」ってすごく感動したんですよね。ビデオチャットと異なり、身振り手振りしている人が目の前にいる臨場感がすごく出る。VRが広まったら、空間と移動の制約がなくなって世の中を変えるんじゃないかと。これからはVRが来る!と社内で粘り強く言い続けた結果、新規事業としてVR室を立ち上げることになりました。


―それが2017年4月実施の「VR PARCO」の制作に至ったと。

VRゴーグル装着とスマホでVR空間上の店舗内でショッピングを楽しめるというコンテンツです。施策自体は好評だったものの、VRゴーグルを装着する機会を提供しないと体験できる人が少なく、スペック上の課題もあり数字として実績を残すには難しいところがありました。結果VR室はなくなり、そのあと仮想通貨事業に参加することになったのですが、蓋を開けてみると、ビジネスモデル上仕方ないのですが、ごく限られた富裕層だけを相手にサービスを展開しているような状態に。個人的なモチベーションとして、もっとより多くの人に届く仕事がしたいと思っていたところ、MESON代表の梶谷と知り合う機会があり、今の会社に参画することになりました。現在も日々AR関連の論文や企業の情報を追いながら一般発売前の機材を手に入れ研究を重ねています。ゴーグルからより実用レベルまでコンパクトになったグラスや、サイズは大きいですが高性能スペックを搭載したグラスなどさまざまです。



―入社後はARランウェイサービス「PORTAL」の開発に携わられ、複数のアパレルブランドと組んでプロジェクトを公開されています。

昨今の実店舗は体験性を求められるため、VR/AR技術を使って印象に残り共有したくなる体験を設計してほしい、とアパレルメーカーから相談を受けたのが始まりです。タブレットを空間にかざすと画面の先に3Dのランウェイ空間とモデルが見えるというものです。今後は実際にPORTAL経由で商品購入できるようにするなど実用性を高め、体験からの展開をどんどん増やしていけたらと考えています。

―PORTAL以外でも、近年では広告手法として少しずつ身近な存在になり始めてきたVR/AR技術ですが、エンタメ的側面の方がまだ高いのでしょうか。

最近ようやく実用性にシフトしていくための技術的な素地が整いはじめました。複数人で同時に1つのAR空間を体験することができるようになるなど表現の幅も広がってきたタイミング。特にここ数年の成長はめざましいとはいえ、まだエンタメ性が高いので我々も取り組んでいきたい課題ですね。



―他に技術が進歩することにより考えられる活用方法はありますか?

まず、ARグラスを身につけて当たり前の時代が必ずやってくると思います。ARグラスが日常になった世界ではグラスをディスプレイとして使い、つなぐキーボード端末を持ち歩くことによりいつでもリモートワークが可能になります。道を歩きながらグラスに対して話しかければグラスが瞬時に欲しい情報を検索表示してくれたり、撮りたいと思った瞬間に写真を撮影できます。デジタル情報へアクセスすることが簡単になり、主体的に必要な情報を選ぶことができ、さらに体の一部に近い没入感を味わえるARグラスは知覚や知恵、知識の拡張である以上にパーソナルな相棒的存在になるでしょう。3D技術の進歩もVR/ARと切り離せません。現在PORTALで静止状態のモデルもより簡単に動かすことができ、服の揺れや素材感をよりリアルに実感できるはずです。

―ARが活用されている事例も教えていただいてもいいですか。

現在実際に活用されている例として分かりやすいのは、グラフィティが人気な地域で壁の変遷をずっと見られるというコンテンツ。壁に端末をかざすと各時期での壁の状態を見ることができます。実際の空間を目前にして時間のアーカイブをできるのはARの面白さです。Apple社もNew Museumと協力して屋外でARの美術作品を鑑賞できるコンテンツ[AR]T を提供し始めました。
https://www.apple.com/jp/newsroom/2019/07/apple-offers-new-augmented-reality-art-sessions/


―今後AR/VR技術を使って挑戦したいことは?

ARグラスの最大の魅力は高性能なカメラ、ディスプレイ、スピーカーを常に身につけていられるという点。店頭施策としてVR/ARを活用することは今後も過渡期の動きとしてあると思いますが、近い将来はより無意識に、人間の知覚が拡張され「体験してる」と思わない、「そういえばARグラスを付けてたからできていたんだ」と思えるようなサービスを作りたいですね。


―新しい仕組みが自然なインフラとなるための状況を作ってくことも大事ですね。

僕は大学で「イノベーションのジレンマ」という論文について研究していて、そこに「市場を変えるような製品・技術のほとんどは、出始めのころは“こんなものはおもちゃだ”と言われるような製品である」という印象的な言葉があったんですね。スマホも最初はおもちゃのような存在だったけど、今では人間にとって欠かせなくなった。おもちゃのままにしておくか、そこに可能性を見出すか。僕は常に後者でありたいなと、その可能性を信じてやっていきたいなと思っています。


伊藤淳
1990年東京生まれ。2013年東京大学経済学部経営学科卒業後、株式会社 VOYAGE GROUP入社し、VR室長を経験。2019年3月、株式会社MESONに1号社員として入社。プロデューサー、プランナー、ディレクターを務める。

https://meson.tokyo
Text: Ayae Takise
Photography: Eisuke Asaoka

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