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『PLEASE』編集長・北原徹がつくりあげるもの


元『POPEYE』副編集長が刊行するファッション・マガジン

大手出版社から独立した北原徹が編集・文章・撮影までを担うファッション・マガジン『PLEASE』は、大胆な写真使いや圧倒的なビジュアルの美しさで、既存のファッション誌とは一線を画す。インディペンデントに雑誌を作る道を選んだ彼の、ものを作る上での揺るぎない姿勢とは。


―マガジンハウスを辞めて、独立して出版社を立ち上げたのはなぜですか。

これからはひとりで一冊つくる時代じゃないかと以前から思っていました。個人のパワーやその人なりのとんがった部分でつくるほうが強さを感じると思うんです。同じギターを弾いても同じ音色は出せないのと同じように、同じ雑誌は絶対にできませんから。大手はある意味で雑誌は編集長のものだと思うけれど、ページは誰でもできることを目指すしかない。写真一枚選ぶにしても多くのスタッフの目を通すじゃないですか?それってエッジを削ぎ落とす作業だと思うんです。誰もが気にいる一枚って、無個性になっていくという感じでしょうか?デザイナーの色が濃い服と安くて大量生産して大量消費する服の違いみたいな感じかな?ドラマチックな写真のセレクトを多くの目を通してはできにくいと思うんですよ。個人の思い込みみたいなものが案外偉大な力になると思いますし。それと多くのスタッフを持つ編集部の編集者の悪い癖みたいなものですが、「読者がわかるように」とか「読者を考えるとこうなる」的な話が会議や打ち合わせで出ますが、この読者ってどこにいるの?って聞きたくなる。だって、所謂〝ペルソナ〟ってやつでしょ?読者にわかりやすくってその言葉自体読者をバカにしているなぁ、って感じていました。ぼくはぼくにしかできないこと、できることをするだけなのだけれど、ぼくが第一読者なので、自分をバカにできないんです。子どもの頃外で見たもの、体験したものを母親にあーだこーだと伝えようとするじゃないですか?雑誌の原点ってそんなところにあると思うです。多くのスタッフをかかえる雑誌だとつくりにくいことが人でつくる雑誌ならできる。これが令和の雑誌のあり方!なんちゃって。


―忖度しているということでしょうか。

忖度(笑)!そうだね。でも何かを作る姿勢として、それは正しいのだろうか?という疑問があって。同じようなものを作り続けるより、「せっかくものを作るんだったら、誰も見たことのないものを作りたい」という気持ちの方が強かった。だから『PLEASE』という雑誌は「自分だったらこういうものを見てみたい」という思いで作っています。


―編集、ライティング、撮影と、ほとんどすべてをご自身でやられているそうですね。

僕は文章も書くし、写真も撮ります。スタイリングもワンブランドであれば自分でやっちゃうことが多いです。ただワンブランドでも、僕がやったらきっと間抜けなものになる、スタイリストを入れた方がいい、と思ったらお願いします。自分一人で作っている雑誌とは思っていないし、ヘアメイクやモデルも含めて、いろんな人の力を借りながらですね。またデザインの進行が極めて特殊です。全ページの撮影が終わって、タイトルや文章、クレジットなどすべて文字要素も書き、写真をセレクトして、パワポで文字を入れた(一応フォントの気分も入れます)ラフをつくり、それをアートディレクターに全ページができて初めて渡します。そうすると数日後にできあがってくる。ほとんど問題なくて、細かい直しをして、そのまま印刷所にって感じです。



―写真はいつ頃から撮っているのでしょうか。

本格的に写真を撮るようになったのは、30年前に篠山紀信さんの担当になってからですね。「こんなに写真って面白いんだ」って思うことが多くて、いっぱい手伝わせていただいたし、自分にとっての原点です。その後『an an』編集部に配属になった時にローライフレックスというカメラを買って。ローライって本当に、手取り足取り写真を教えてくれるようなカメラなんですよ。『POPEYE』では経費削減の一環として(これ本当です!)「取材で行く交通費とか考えたら、その場にいるし編集者が撮った方がいいじゃないか」って企画書に書いたりして。その名目を勝手に拡大解釈して(笑)、それからファッションページも自分で撮影するようになりました。



―雑誌以外にも、プロダクトの開発も手がけていますよね。日本を代表する鞄ブランド[PORTER]とコラボレーションしバックパックを作った経緯を教えてください。

実はずっと寝かせていたアイデアなんです。10年くらい前に海外でスリにスられないバッグを考えていて、バッグパックのファスナーの部分が外側じゃなくて(身体に密着した)内側にあったら絶対にスリに盗られないよねってヘアメイクでカメラマンの佐藤富太さん(そもそもの発案者は佐藤さんです!)と話をしていて。ファスナーが内側にあるバックパックなんて使い勝手からしても常識からしてもありえないのだけれど、せっかく何かを作るなら、誰もやったことのないことがやってみたくて。単に生地を変えるとか、元々あるものをいじるとかではなくて。別注じゃなくてゼロからつくるほうが楽しいなぁ、と。それが自分なりのアプローチ。



―ソリッドな黒一色が素敵です。

スられないバッグの話をしたときから、イメージは固まっていて、すぐに「BLACKBOX」というネーミングが生まれました。ネーミング好きなんです(笑)。だからオールブラックで仕上げています。また15インチまでのノートパソコンも収納可能です。もう一つ特徴的なことは、裏返しにしてもバックパックのような形をしていること。だから内側のポケットも立体的な構造になっていて、マチにもゆとりがあるんです。収納も充実しているから、失くしたくない大事なものはここに。パスポートとかを入れるイメージかな。あと背負う時にファスナーの開閉に絶対に目が行くから、閉め忘れて開けっ放しになることがありません。



―ディテールまで北原さんの意匠が詰まったバックパックですね。

職人さん泣かせですよ。工賃もすごく高かったみたい。カバン作りのルーティンや方程式に出てこないことをやっちゃったからね。とにかく「見たことがないものを作ってみたい」という思いが強いんです。


―何かを生み出す上での、一貫した強い意志を感じます。

かっこいいことを言っても、常にあっぷあっぷですよ。ネタを持っていても、そのネタを吐き出さないと、次の仕事は生まれてこないからね。クリエイティブなんて常に枯渇してないと。枯渇こそがクリエイティブというか。乾いたスポンジのほうが水を吸収するみたいな?そうやって必死に作った雑誌が完成した時には、全てを出し切ったと感じるし、同時に「これを超えろって、一体どうすればいいんだろう?」と毎回思う。でも、亡くなったカール・ラガーフェルドさんの言葉を借りると“My Favorite issue is always next one”っていうのかな、次の号が絶対面白くなるって考えていて。早く次の号が読みたい!見たい!ってなる。読者なんですね。マガジニストという名を借りた読者。僕にとって何かを作るということは、そういうことなんです。


Text : Shunpei Narita
Photo : Masahiro Ibata

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応募期間:2019年4月16日(火)11:00 ~ 2019年6月10日(月) 9:59

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