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アートでひらく冷蔵庫の第2章。菅原敏と下田昌克のTOBIRAE


客室向け冷蔵庫の第2の人生はスピーカー? アート x 冷蔵庫で生まれる新たな面白さ

詩人・菅原敏がプロデュースするTOBIRAE(トビラエ)にはこれまで、祖父江慎、石川直樹、大竹寛子、寺本愛などのアーティストが参加。ホテルなどで使われ、役目を終えた小型冷蔵庫をアート作品に生まれ変わらせてきた。今回デザインを行なったのは画家・下田昌克。コム デ ギャルソンのランウェイに突如登場した恐竜のかぶりものを生み出したアーティストとしても知られる。冷蔵庫とアートの異色の組み合わせによって生まれる新しい面白さを紐解く特別インタビュー。


―最近は壱岐のプロジェクトでご一緒される機会もあるようですが、お二人の最初の出会いは?

菅原:5年くらい前、マイク・ミンさんのライブペインティングのイベントですかね。
下田:うんうん、あの後マイク・ミンがボウズにしたいって言うから、僕が散髪してあげたんだよね。
菅原:ありました(笑)


―その当時はまだ恐竜の作品は…

下田:…作ってた!
菅原:骨のリストバンドをつけてましたよね。下田さんの恐竜の作品は様々なメディアで良く拝見していました。とても素敵だなあと。
下田:僕も(菅原さんの作品は)もらった詩の本で読んだり、ちょっと調べたりして。僕ね、面と向かって言うのはあれなんだけど、詩とかが苦手で…。言葉がピカピカすぎて。でも谷川(俊太郎)さんのとかは割と普通の言葉で入ってくるんだけど、(菅原さんの詩も)それと同じように語感とかが入ってくる感じで、なんか面白かった。…わかってるかは別だよ!(笑)
菅原:嬉しいですね。



詩人である菅原敏さんがプロデューサーを務めるこのTOBIRAEというプロジェクト。ホテルなど客室向けの小型冷蔵庫で、その役目を終えたものをアップサイクルによって、スピーカーなど新たな価値を持つ商品へと生まれ変わらせている。


菅原:企画運営はアントビー株式会社という家電メーカーで、ホテルや旅館の客室向けの家電を作っている会社です。普段自分は詩を書いていますが、様々なジャンルのアーティストとコラボレーションをしたり、紙の上以外の活動も多い点など、社長さんが活動を追ってくださっていて。一緒にやってもらえないかと相談を受けたんです。彼らの会社は、自分たちの作ったものを最後まで責任を持って面倒を見ることを真剣に考えていて、とても面白い会社なんです。「家電をどうしたら土に返せるか」という土の研究でイタリアのワイナリーを訪れているうちに現地の生産者から託されて自然と輸入業が始まったり(笑)。現在は家電メーカーでありながら自然派ワイン、クラフトビール、オリーブオイル、コーヒーなどイタリア物産のインポートも手がけています。
この「Peltism」という小型冷蔵庫は社長が一から図面を引いて、会社として作った最初の商品だったそうで、その分想い入れもありゴミとして廃棄したくないと。それと、廃棄家電がグレー業者によって海外に輸出されて、幾ばくかのレアメタルを取り出すために燃やされ、ダイオキシンで土壌を汚染しているという業界の現状もあるそうです。そういう現状に対して小さいながらも自分たちで発信してできることはないだろうか、というのがプロジェクトのベースにあります。


菅原:もともとスピーカー自体はすでに作られていたんですね。それで自分に声をかけてもらった時に、一冊の本を作るような感覚でできないかなと思って、それで「TOBIRAE」(扉絵)という名前にしました。次のチャプターというか、ページをめくるように扉を開ける。冷蔵庫としての第1章が終わった後に、スピーカーとしての新しい第2章が始まるように、その名前を付けました。それとやっぱり、捨てられるはずの廃棄物がアートピースに変わるのも面白いなと。本の装丁をデザインしてもらう感覚で、写真家の方や画家の方に依頼をして、紙ではないですが普段自分がやっている本作りのような感覚でやっています。 それで今回は下田さんにお声がけさせて頂きました。

下田:うん、それでどういうのを作りたいか考えたよね。こういうのどうかなっていうのを提案しました。それに合わせてどういうふうに撮影したらいいのかなって。全部新しく撮り下ろししてもらったんです。白と黒の2パターンでやりたい考えがあって。白はもう全体に布を巻いたような質感で撮って、そこにガイコツがある感じ。黒は、いつもの黒の中に(白い生地の恐竜が)浮き上がっているような感じでやりたいって提案をして作ってもらいました。撮影も一緒にやりましたね。

菅原:そうそう、だから出来上がる時はドキドキしますね。普段は立体で見ているものが、平面で冷蔵庫の扉に貼り付くっていうのはね。

下田:白い方も"硬いけどやわらかい"みたいな感じで、かわいく仕上がったと思います。

菅原:ですね。これ、冷蔵庫の中に何が入ってるんだろうって思いますよね。

下田:「毒」!(笑)

菅原:もしくは不老不死のお薬とか(笑)

菅原:割と今までは既存の作品のアーカイブから良いものを選んでやってもらうという形が多かったので、撮り下ろしというのは珍しいですね。

下田:正面・左右・上から4面やりたいとか、すっごいわがまま色々言ってたんだけどね(笑)

菅原:でも、白と黒なので、下田さんの作品にぴったりハマるというか、嬉しかったですね。


菅原:今このスピーカーは、カフェなどの店舗で使っていただいたり、個人で買ってくださるお客さんもいます。あとはポートランドなど海外のインテリアデザインの会社がまとめて買ってくれたりもしていて、冷蔵庫を開けたらスピーカーっていうのは海外でも刺さるみたいです。

下田:不思議なことにスピーカーになると、あの扉開けてボトル入れるところに本とかレコードやCDなんか置きたくなるんだよね。中の機能が変わるとポケットの存在意義も変わるもんだなぁと思って。


菅原:スピーカーは音楽家のパードン木村さんの開発・設計です。冷蔵庫の作りによってはモーター部分が突き出しているものもあるそうなのですが、これに関してはきれいな箱型なのでスピーカーにしやすいそうです。


―今日下田さんは実物をもらいましたね。

下田:とりあえず、開けると中が顔みたいだから、あれに牙とか書いとこうかなと思っててね。あれ、わざと顔みたいにしてるの?
菅原:あの"口"の長さも、低音の響き的にあれくらいがいいらしく。そういった機能的な部分と、より愛着を持ってもらうという部分もあります。時々ミュージシャンがこのスピーカーをサウンドシステムとして積み上げてライブとかしてくれたりとか、いろんな場面で使ってもらえる機会も増えてますね。あんまり環境問題どうこうというよりは、まず楽しんで使ってもらえたら一番いいかなと思いますね。


下田:扉閉めたら音がこもったりするからさ、ビョークのファーストアルバムみたいに、スタジオの外から漏れ聞こえる音みたいなのあるじゃない?そういう楽しみ方もあるかもね。

菅原:人力エフェクトみたいな。あと、意外に軽いので持ち運びも簡単ですし、Bluetoothも使えるので気軽に楽しんでもらえたらいいかなと思います。


―今後ますます面白くなっていきそうですが、どのように育っていくイメージを持っていますか?

菅原:小さな音楽フェスでもやりたいねと話をしています。何組かアーティストさんを呼んで、あのスピーカーでサウンドシステムを組んだり。あとは例えばトークショーのような形で下田さんや参加作家たちをお招きして、TOBIRAEの成り立ちなどについてもお伝えしたいですね。ひとつのメディアに育っていってくれたらと思っています。

下田:どうしよう、僕のだけ売れなかったら~。うう。

菅原:そんなことはないですよ(笑)いろんな方が使ってくれているので、どんな部屋に置かれるのかなというのも楽しみです。

下田:僕んちに置いたら馴染んじゃうけど、普通のうちに置いたらすんごい存在感あると思うよ!


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応募期間:2019年4月16日(火)11:00 ~ 2019年6月10日(月) 9:59

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本キャンペーンは終了しました。



TOBIRAE 公式サイト
tobirae.fun
Instagram: @tobirae_jp
《お問い合わせ》
アントビー株式会社

TEL:0120-777-485

菅原敏
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、ラジオやテレビでの朗読、欧米やロシアでの海外公演など広く詩を表現。Superflyや合唱曲への歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌「BRUTUS」他で連載。近著『かのひと超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)。東京藝術大学 非常勤講師。
sugawarabin.com/
Instagram: @sugawarabin

下田昌克
1967年、兵庫県生まれ。絵描き。1994年から2年間、旅先で出会った人々のポートレイトを色鉛筆で描き始める。2011年よりプライベートワークでハンドメイドの恐⻯の被り物を作り始める。2018AWのメンズコレクションのショーにてコム デ ギャルソンがそのヘッドピースを採用してパリコレへ。近著に『恐竜人間』(パルコ出版)、『恐竜がいた』(スイッチ・パブ リッシング)など。
www.701-creative.com/shimoda/
Instagram: @shimodamasakatsu

Text: Yoshiki Tatezaki
Photo: Fuko Ito

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