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カルチャーが交差する古着屋 TUNAGI JAPAN


渋谷にある一軒の古着屋は次の世代へ何を繋ぐか

渋谷の公園通り沿いのビルの中にある[TUNAGI JAPAN]は、ファッション好きなら思わず唸ってしまうような、今の空気にぴたりとハマるセレクトで人気の古着屋だ。アイテムは年代も生産国もバラバラで、特定のジャンルに特化しているわけでもない。一見無秩序とも言えるような商品たちの集合が、現代的な雰囲気を醸す理由はどこにあるのか。古着だけでなくオリジナルのブランドも展開し、バーカウンターでドリンクも提供する異色の古着屋の全貌を、店主の井澤元気さんに明かしてもらう。


—お店に置いているアイテムのセレクトについて教えてください。

「かっちりしたセットアップやジャケットスタイルを、カルチャー色が強いものでハズす」みたいなスタイリングが組めるようなラインナップを心がけています。クラシックな服はテイラー文化が根付いているユーロものを中心に買い付けて、「どうハズすか」という点でセレクトする、カルチャー色が強いアイテムはアメリカのものが多いです。



—そういったカルチャーは、実際に井澤さんご自身が影響を受けてきたものなんですか。

直接的に自分が影響を受けているものというよりは、その時々で発表されるコレクションを意識しています。パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンと、それぞれのコレクションが発表されるタイミングで、気になるブランドは全部ピックアップして、デザインソースや演出で使う音楽などをチェックするんです。中でも自分の気分に合うなと感じたものを選んで、元ネタとなったものや時代背景に紐づくアイテムを探していく感じです。


—古着なのに今っぽい空気感を纏っている理由が理解できた気がします。そのような集め方に行き着いたのはなぜですか。

大学生の頃はディオールオムやアレキサンダー・マックイーン、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズといったハイブランドが好きで、食い入るように見ていました。でも直接それらを買うことはしていなくて、空気感が似ているものや、デザインの元ネタになったものを探していたんです。正直服の集め方は学生時代から変わっていないかもしれません。


—お店では古着だけでなく、オリジナルのアイテムも展開していますね。

今までずっと海外で服を買い付けてきましたが、同時に日本の良さも感じるようになって。海外のものばかりを勧めるのではなく、生まれ育った国の良さも伝えられたらと思い、海外のカルチャーは古着で発信しながら、日本のカルチャーは自分のブランドで、というコンセプトで「GEN IZAWA」というブランドをはじめました。


—ちなみに今期のコレクションはどのようなテーマでやられたのでしょうか。

「太陽にほえろ!」という日本のテレビドラマをテーマにしています。


—決定したテーマを実際にデザインへ落とし込んでいく方法を教えてください。

毎回違いますが、今回の「太陽にほえろ!」では、登場人物たちがシャツにネクタイをしたり、タートルネックを着ているスタイリングが多いので、そこから着想を得てシャツとタートルネックの中間的なデザインの服をつくってみました。



このデニムジャケットは、ドラマが放映されていた70・80年代のリーとラングラーの要素が半分ずつデザインされています。右半分がリーで、左半分はラングラー。パンツはヴィンテージのリーバイスっぽく仕上げているので、セットアップで着てもらうと、世界三大デニムブランドを一度に揃えることができます。


—井澤さんご自身は日本の70・80年代のカルチャーがお好きなんですか?

井澤:もともと好きというより、ブランドをはじめていくうちに好きになっていった感じです。同じく日本のものだと、着物や伝統工芸は色々なお店がやっていますが、お客様の年齢層からしても違う気がしたんです。僕も少しは知っていて、お客様にも伝わるものをテーマにした方が親近感が湧くし、日本を好きになるきっかけになると思ったので敢えてそういうテーマを選んでいます。


—コレクションのお話をひとつ聞いただけで、いろいろなことを知れますね。服を入り口に、様々なことを教えてもらったり、世界が広がるような場所になりそうです。

学生時代に通っていた古着屋さんに、世界を広げてもらった感覚があるので、自分もそういう古着屋をやりたいと思っていたんです。あとは単に服を売るだけじゃないお店作りをしたいと考えていて。


—そのような発想に至った経緯を教えてください。

いざ自分でお店を始めるというときに、モチベーションが「服を売る」ことだけじゃまずい、ダメなんじゃないかと怖くなった瞬間がありました。前に働いていた会社がアパレルだったので、そこでも服を売ることはできるじゃないですか。服を売ること以上に、自分のなかで大事にしたいものを考えてみたら「人が集まる場所ができて、世界が広がるようなこと」に価値を感じたんですね。お店を「TUNAGI JAPAN」という名前にしたのも、そんな風に人と人を繋ぐ場所をつくりたいと思ったからです。店舗自体は1年前に移転をしていて、そのタイミングでバーカウンターも作りました。ゆっくりおしゃべりできる場所があったら、もっと人と人が繋がることができるじゃないですか。お客様はもちろんですが、近所で働いている人が休憩時間に来てくれたりします。


—今後はどのようなお店にしていきたいですか。

人と人が繋がる仕掛けを、もっと作っていきたいのと、夢を持っている方のお手伝いができるようなことをしていきたい。渋谷という場所柄、若い世代のお客様も多いので、彼らの背中を押してあげられるような場所にできたらと考えています。


TUNAGI JAPAN
イギリスやフランス、アメリカで買い付けてきたビンテージアイテムや、それらをもとにリメイクしたオリジナル商品やレアなデッドストックなど、今の気分にハマるカッコイイと思うものを厳選して取り扱う古着店。
http://tunagijapan.base.ec
東京都渋谷区神南1-15-7 COENビル6階
12:00~21:00
(不定休)

Instagram: @tunagijapan

Text: Shunpei Narita
Photography: Eisuke Asaoka

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