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あらゆる人々が集うラウンジとゲストハウスの魅力

ゲストハウスと聞くと、旅行客のみが利用する場所という認識を持つ人も多いだろう。しかしBackpackers’ Japanが運営するホステルはそれらとは一線を画し、地域に住む人々や、さらにはそこで開催されるイベントを目的にやってくる人々もいる。人は何に魅せられ、何を目的としてゲストハウスを訪れるのだろうか。彼らが手がけるホステルに潜む魅力をBackpackers’ Japan代表の本間貴裕にインタビューした前編は、デザインへのこだわりについてお届けする。

ー風通しのいい場所であることへのこだわり


Backpackers’ Japanは2010年にオープンした古民家を改装したゲストハウス toco.(東京・入谷)を皮切りに、Nui.(東京・蔵前)、Len(京都・河原町)、そして2017年3月には東日本橋のビルを丸ごと改装した4店舗目となるCITANを構えた。どの店舗も開業直後からほぼ満室状態が続く盛況っぷりだ。それぞれ個性を持ちつつも、共通して目を惹くのはその洗練されたデザインである。ゲストハウスから連想される安宿の雑然さからはかけ離れた、お洒落なカフェレストランにも見違う雰囲気を醸し出している。

今でこそデザインを意識した施設や商品が増えてはいるが、2010年から徹底してデザインを大事にしてきた理由は「もともとカフェが好きだったこともあって、単純に格好良い空間が好き」という本間の経験に紐づいている。「大変だとは分かりつつも、やっぱり全て自分たちで手がけたものを訪れてくれる人に楽しんでもらいたいという思いが強いんですよね」と、Nui.以外の店舗はデザイナーと組まずにスタッフと大工さんの手によってデザインが作り上げられているというから驚きだ。空間設計において本間が大切にしているのは「風通しの良さ」と「光の入り具合」。これらによって程よい抜け感が生まれ、人々がリラックスできる場となっているのだろう。CITANも同様に、もともとは地下1階と1階が分かれていたところを床を壊して繋げてしまうことで、広々としたラウンジ空間が生み出されている。

このように1店舗目から一貫して空間デザインのこだわりを持っていた本間だが、その後ちょうどinstagramやFacebookなどの普及が追い風となり、思わず誰かに見せたくなるような空間づくりが自然な口コミとしてSNSを通じて世界中に発信されているという。


ー単なるゲストハウスではなく「ラウンジ」を提供する意味


「決して宿泊業のみをやっているつもりはなく、あらゆる境界線を越えて人々が集える場所としてラウンジを運営している」と本間は語る。この「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」というのは、Backpackers’ Japanの理念でもある。国籍や職業、世代などの背景を越えて、様々な人たちに集まって欲しい、楽しんで欲しいという想いでラウンジを運営しているという。


CITANでは「宿 × 酒 × 音楽」をコンセプトとしており、ラウンジでくつろぐ人々は属性もその過ごし方も様々なのだという。1階路面にはコーヒースタンドが併設されており、道ゆく住人達がコーヒーを片手に立ち話している様子が伺える。また、地下のラウンジエリアでは、週末夜になると大きなテーブルの下に隠されたDJブースが姿を現し、音に合わせて踊る人もいれば、1人ゆっくりと食事をとる人、はたまたグループでカードゲームに興じる人も。それぞれが心地よく過ごせるようにと、少し壁の角度や本棚の構造を変えるなど、音の反響を柔らげる工夫も設計段階から盛り込まれているのだそうだ。

旅人のみならず、地域住民からも愛用されるところが、彼らが手がけるゲストハウスの魅力といえる。なぜだかそこに行くと、ホッと落ち着ける場所がそこにはあるのだ。今日もCITANでは、楽しい旅の滞在に、音楽を楽しみに、美味しいお酒を片手に様々な人が交差する。

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